82番 引接寺
山号 光明山
宗派 高野山真言宗
開基 定覚
本尊 閻魔大王像
通称 千本えんま堂
正式名 光明山歓喜院引接寺
京都のお寺が大好きだ。おすすめ一番はここだ。
千本通に戻り北へ300mほどをアーケード付きの商店街を歩くと左側(西側)に見えて来る。商店街は誠に昭和の匂いのプンプンする庶民的な佇まいだ。そのアーケードが途切れると千本えんま堂と呼ばれる引接寺がある。向かいの石像寺(釘抜地蔵)と共に街並みに完全に同化している感じがする。残念ながら引接寺には立派な三門も仰々しい伽藍もない。入り口からお堂までのスペースは駐車場となっていて雑然と車が置かれ、歴史ある寺院の秩序は感じられない。しかし、お堂に入ると正面奥の閻魔大王と視線が合うと、たちまち身が引き締まる。
仏師定勢作と伝わる閻魔大王像は、眼には琥珀がはめられていて睨まれているようで迫力がある。京都三大葬送地である蓮台野の入り口に当り、死者は閻魔様に裁きを受ける事になる。因みに、化野と鳥野辺と合わせて3大葬地となっている。開基は、仏師定朝という説や定覚上人、また閻魔庁と朝廷の二つに仕えたと言う小野篁とも言われ、うんと古く聖徳太子との説もある。有名なえんま堂狂言は昭和50年に紆余曲折あり復活し5月1日から5日まで、境内横の舞台で披露される。その手作り感も良い。また、盂蘭盆会にはお精霊さん(先祖の霊)の「迎え鐘」が突かれる。
死者となった先祖が誠に身近な場所なのだ。