昨日行われた将棋の叡王戦第4局
藤井聡太叡王に挑戦しているのは菅井竜也八段で、戦法が「振り飛車・穴熊」のスペシャリスト。
藤井聡太の唯一と言っても良い、得意とは言えない戦法です。
中盤から終盤にかけての速度が他の戦法と違って遅い感じがします。
それでも一般的なトッププロよりは早いと思いますが、相手がその戦法を得意としているプロの中でもトップの人ですから、少し遅いと感じるだけです。
2勝1敗で迎えた第4局に勝てばタイトル防衛の藤井聡太叡王。
菅井竜也八段の先手で始まりました。
序盤が終わり、戦いの始まる中盤に差し掛かった時に「千日手」になってしまった。
両者がそれ以外の手を指すと不利になると判断して、同じ手を指します。
それが三回繰り返すと「千日手」となり、手番を交代して最初からやり直しです。
やり直しの戦いは藤井聡太叡王の先手で始まり終盤まで進み、どちらが先にとどめを刺すか緊迫した状態で「千日手」になってしまった。
タイトル戦で2度の「千日手」でやり直しです。
3度目の戦いはどうするのか決まっていませんでした。場所や時間の都合もあるし、対局者の予定もある。
結局は持ち時間を1時間プラスして、同じ日にそのまま続行することに決まった。
例のごとく、朝の開始からパソコンで観戦し続けている私も、当然のように続行です。
3度目の仕切り直しで「藤井聡太の強さ」を感じた
藤井聡太叡王は後手番、先手の菅井竜也八段は自分の得意な戦法に誘導します。
そして序盤から中盤に差し掛かろうとしたときに、3度目の「千日手」になる可能性が出て来た。
いくら何でもそれは無いだろう。。。と思っていたら、、、。
なんと藤井聡太は、これを「千日手」にして、もう一度やり直しても良いと言う差し回しの場面を作った。
それは自分が先手になれば2度目と同じ道に誘い、途中で2度目とは違う道を選んで勝利する自信が有ると主張しているようだった。
逆に言えば後手番ではその道を発見できていない事になります。
その指し手を見せられた菅井竜也八段は「千日手」を避ける道を選んだ。。。。
藤井聡太が将棋が強いのは誰もが認める所ですが、強いのは将棋だけでなく「ハート」が強い
今、自分が出来る最善はコレだと確信すれば、躊躇なくその道を選択できる。
まぁ、決まりではなく慣例のような感じで「千日手」を回避するのは先手の役目みたいな部分も有るのですが、藤井聡太は堂々と「もう一局やろう」と、指し手で宣言したのです。
そこには「俺が先手なら千日手にはせずに勝つ」と相手にプレッシャーをかけている姿を感じました。
何とも言えない鬼気迫る迫力です。
結果、その回避した菅井竜也八段の指し手からは藤井聡太の独壇場。
最後は解説者たちも読み切れていなかった「約30手の詰み」を短時間で読み切っていたのは流石です。
長い一日でしたが、もう二度と無いかも知れない戦いを見る事が出来ました。
素晴らしい両者に