「天幕のために、赤くなめした雄羊の皮で覆(おお)いを作り、さらに、その上に掛(か)ける覆いをじゅごんの皮で作った。」(出エジプト記36:19新改訳)
会見の天幕全体は四種類の幕でおおわれた。これは人なるイエス・キリストを象徴(しょうちょう)している。いちばん外側はじゅごんの皮製で、砂漠に住む人々の天幕と変わらない。▼そのように、イエスはナザレで育(そだ)ったふつうの青年としてすこしも変わったところのない姿であった。その次の赤くなめした雄羊の皮は、主の愛をあらわしている。主は父のお心に全(まった)く従い、罪びとのため十字架上にいのちを捨(す)てることを決心して地上生涯を生きられた。その燃えるような愛を象徴したのが赤い皮であった。▼三番目にある真っ白な山羊の毛で作られたおおいは、キリストのきよい心を象徴している。汚(けが)れた人間の世界を生きられたにもかかわらず、御子(みこ)は一点の罪にも染(そ)まらず、あがないの子羊として、完全な生涯を送られた。もっとも内側にある錦(にしき)の覆いは、主の人格の最奥部(さいおうぶ)が天の輝きと父のご臨在(りんざい)に満ちた栄光そのものであったことを示していた。▼三年間、主と交わり、その人格にふれた弟子ヨハネが感嘆(かんたん)したのも無理(むり)はなかった。「ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。私たちはこの方の栄光を見た。父のみもとから来られたひとり子としての栄光である。この方は恵みとまことに満ちておられた。」(ヨハネ1:14同)