＜我が家のお姫様＞
ひょんなことから我が家に貰われてきて、一緒に暮らすことになってから１７年が過ぎた。
野良出身なので、私たちはこの娘の親兄弟を知らない。
健康に生まれきたようで、今まで大した病気やケガもなく高齢になった現在も元気に
家の中を走り回っている。
臆病でチャイムが鳴ったり、他人が来るとソファの陰や下に隠れてしまう。
小さい頃は庭に出て遊んでいたこともあったが、今は窓から眺めるだけ。
ＴＶに猫が出てくるとじっと見ているが、ほとんど自身の姿を見たことがないから、
自分を猫と思っているのかは疑問だ。
食欲も旺盛で、鳴き声に至っては前より大きくなっていて、耳が遠くなっているのかと
思ってしまう。
普段はカリカリの腎臓系療法食と少しのヨーグルトだけだが、週末だけまぐろ缶を少し
もらえるのが唯一のご馳走。
人年齢だとすでに８３歳位なので、いつのまにか先を越されてしまった。
お互いにいたわりながらこれからも暮らして行こうと思う。