先日夜10時頃、急に息子が来ました。
手に大きなレジ袋を持っていました。
「差し入れ持ってきたよ」石鹸、洗剤、歯磨粉にトイレットペーパー。
みんな欲しかったモノばかり。今日、明日にでも買わなくてはと思ってたモノです。
息子から貰う限られたお金で生活している身ですので、食費を削って衣料品を買うしかありませんが、なかなかそのお金が捻出できません。
こんな状況下での差し入れは本当にうれしいものです。
「これ、みんなお父さんが買おうと思っていた物ばかり! よくわかったね。」
息子に礼を言うと、
「カナちゃんのお母さんからなんだ」と言いました。“カナちゃん”は今年2月に結婚した息子のお嫁さん。
「カナちゃんはお父さんのこと(失踪)知ってるの?」
「当たり前だよ」
息子に申し訳なく思いながらも、内心ホッとしました。
何故なら、息子がお嫁さんに私のことを内緒にしていたら、私に会いに来るのも随分と大変だろうなと、ずっと気にしていたのです。
でも、いまハッと気付きました。かえって、お嫁さんの家に対して息子はとても肩身の狭い思いをしているのだと。
そのお母さんからの差し入れー。
顔が目に浮かびました。
結婚式が終わって、この次は是非一緒に飲みに行きましょうと言って別れた時のお母さんの笑顔。
一人娘を嫁にやって3ヶ月たらずで、相手の父親が不祥事を起こし失踪。
先方のお母さんにしてみれば、騙された! と腹の中は煮え繰り返えっていることでしょう。その心中を思うと、只々先方のお母さんには申し訳ないと、失踪時からずっと思ってきました。
そのお母さんからの差し入れでした。
「向こうのお母さんに、ありがとうございます、とよろしく伝えてね」
「わかった。でも、この次に会った時、お礼を言ったら?」と帰り際に息子が言いました。
「えっ? こんな状態でどうして会えるんだい?」私の問いに息子は少し笑みを浮かべただけでした。
私の妻は私がどうしているかを知りません。わかったところで差し入れなどしないでしょう。私の突然の失踪、そして懲戒解雇、貯金もなく、クビで退職金も貰えず、何が起こったのか何が何だか分からない状態で、妻は毎日を生きるのに必死に働いているに違いないのです。私を恨んでいるでしょう。否、もうそんな気持ちにも疲れ、うんざりしているかもしれません。
そんな酷いことをしている私なのに、私を恨んいるはずの息子の嫁さんのお母さんから、思いがけずも、差し入れをいただいたのでした。
こんなこともあるのかと思いながら、恨みは恨みとしてしっかりと受け止めて、
有り難く頂戴することにしました。
頂いたトイレットペーパーや洗剤にフッと主婦の優しさを感じ、そして妻のことを想いました。
その夜は、なかなか眠れませんでした。
手に大きなレジ袋を持っていました。
「差し入れ持ってきたよ」石鹸、洗剤、歯磨粉にトイレットペーパー。
みんな欲しかったモノばかり。今日、明日にでも買わなくてはと思ってたモノです。
息子から貰う限られたお金で生活している身ですので、食費を削って衣料品を買うしかありませんが、なかなかそのお金が捻出できません。
こんな状況下での差し入れは本当にうれしいものです。
「これ、みんなお父さんが買おうと思っていた物ばかり! よくわかったね。」
息子に礼を言うと、
「カナちゃんのお母さんからなんだ」と言いました。“カナちゃん”は今年2月に結婚した息子のお嫁さん。
「カナちゃんはお父さんのこと(失踪)知ってるの?」
「当たり前だよ」
息子に申し訳なく思いながらも、内心ホッとしました。
何故なら、息子がお嫁さんに私のことを内緒にしていたら、私に会いに来るのも随分と大変だろうなと、ずっと気にしていたのです。
でも、いまハッと気付きました。かえって、お嫁さんの家に対して息子はとても肩身の狭い思いをしているのだと。
そのお母さんからの差し入れー。
顔が目に浮かびました。
結婚式が終わって、この次は是非一緒に飲みに行きましょうと言って別れた時のお母さんの笑顔。
一人娘を嫁にやって3ヶ月たらずで、相手の父親が不祥事を起こし失踪。
先方のお母さんにしてみれば、騙された! と腹の中は煮え繰り返えっていることでしょう。その心中を思うと、只々先方のお母さんには申し訳ないと、失踪時からずっと思ってきました。
そのお母さんからの差し入れでした。
「向こうのお母さんに、ありがとうございます、とよろしく伝えてね」
「わかった。でも、この次に会った時、お礼を言ったら?」と帰り際に息子が言いました。
「えっ? こんな状態でどうして会えるんだい?」私の問いに息子は少し笑みを浮かべただけでした。
私の妻は私がどうしているかを知りません。わかったところで差し入れなどしないでしょう。私の突然の失踪、そして懲戒解雇、貯金もなく、クビで退職金も貰えず、何が起こったのか何が何だか分からない状態で、妻は毎日を生きるのに必死に働いているに違いないのです。私を恨んでいるでしょう。否、もうそんな気持ちにも疲れ、うんざりしているかもしれません。
そんな酷いことをしている私なのに、私を恨んいるはずの息子の嫁さんのお母さんから、思いがけずも、差し入れをいただいたのでした。
こんなこともあるのかと思いながら、恨みは恨みとしてしっかりと受け止めて、
有り難く頂戴することにしました。
頂いたトイレットペーパーや洗剤にフッと主婦の優しさを感じ、そして妻のことを想いました。
その夜は、なかなか眠れませんでした。