![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/71/4a29fb4f77bda0c1351d08d9eaa5c5bd.jpg)
2022.05.13撮影(Viola riviniana)
わたしの庭には、3種のスミレが長い間住んでいます。そのうちの1種、「ラブラドールのスミレ」、を前回ご紹介しました。原産地は、グリーンランドからカナダのラブラドールを経、アメリカの東部にかけた地域です。
今日は、冒頭画像のスミレをご紹介します。
学名 Viola riviniana
英名 Common dog-violet
別名 Dog violet
和名 ヴィオラ・リヴィニアナ(学名から)
英名 Common dog-violet
別名 Dog violet
和名 ヴィオラ・リヴィニアナ(学名から)
種小名の riviniana は、某ドイツ人植物学者への献名です。その人の名前をラテン語化したもの Rivinus を、さらに形容詞形 riviniana にしてあります。種小名は、必ず、形容詞で、属名とともに斜字体で書かれます。
今日のスミレは、前回の「ラブラドールのスミレ」という呼び方にならって、「リヴィヌスのスミレ」と呼ぶことにします。
「リヴィヌスのスミレ」の原産地は、文献によってやや異なるので、広めにとって、北西アフリカ〜ヨーロッパ〜西アジア、としておきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/85/b141bd8c1f24913cf43f40a157b89b89.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/cd/5ff3c82b72f4c9aaa555482997a30fba.jpg)
2024.04.30撮影(Viola labradorica) 2024.04.30撮影(Viola riviniana)
左上の画像が「ラブラドールのスミレ」、右上の画像と冒頭画像が「リヴィヌスのスミレ」です。花だけを見れば、「ラブラドールのスミレ」と「リヴィヌスのスミレ」は、色違いなだけじゃ? と思うぐらいですね。両者とも、側弁有毛だし、紫条も同じようだ。
「リヴィヌスのスミレ」の画像をあちこちで見比べてみると、青紫〜赤紫〜ピンクのように色の幅があります。その第一の理由は、撮影条件の違いだとは思いますが、 Viola riviniana ‘Rosea’「バラ色の=ピンクの」という園芸種があり、他にも色の異なる園芸種があるのかもしれません。
それなら、「ラブラドールのスミレ」と「リヴィヌスのスミレ」を色で区別するのは、慎重にしなくてはなりません。
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/f8/faf6ca4889019e39e590ebdea5419ec6.jpg)
2024.05.03撮影(Viola labradorica) 2022.05.02撮影(Viola riviniana)
距(きょ)もご覧ください。花の後ろに突き出た、終わりが閉鎖された筒のようなものです。「ラブラドールのスミレ」も「リヴィヌスのスミレ」も、距は白いです。ますます異なるところはないような・・・
実は、「ラブラドールのスミレ」と「リヴィヌスのスミレ」は、あちこちで混同されています。インターネット上の記事を見ると、行けども行けども、そのような記事に出会います。あまりにひどいので、リンクしません。
「ラブラドールのスミレ」を「リヴィヌスのスミレ」と呼んでいる場合
「ラブラドールのスミレ」は青紫っぽく、「リヴィヌスのスミレ」は赤紫っぽいです。青紫のものを赤紫のものの名前で呼ぶので、ご丁寧に、Viola riviniana 'Purpurea'「紫のリヴィヌスのスミレ」とまで色を指定している場合があります。
「リヴィヌスのスミレ」を「ラブラドールのスミレ」と呼んでいる場合
でも、園芸店へ行くと、たいていは、反対なんです。「リヴィヌスのスミレ」を「ラブラドールのスミレ」と呼んで売っています。なぜ? 「リヴィヌス」という訳のわからない名称より、「ラブラドール」の方が、馴染みやすい? 夢がある? ロマンチック???
なぜこんなに混同される? 単に、花がそっくりだから?
姿が先なのか、名称が先なのか、わからないのですが、なんと、「ラブラドールのスミレ」も「リヴィヌスのスミレ」も(そして、他の数種のスミレも)、英語では、Dog violet「イヌ・スミレ」と呼ばれるんです!!!
大体、英語でも日本語でも、「役に立たない、有用でない、取るに足りない、ニセモノの」植物を「イヌ」と冠して命名する傾向にあり、なぜこのようなかわいい花が「イヌ」???
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/aa/e03d37e271f9e424b9c6978ab952da6b.jpg)
2024.04.29撮影(Viola labradorica) 2023.05.21撮影(Viola riviniana)
決定的に違うところを見てみます。葉です。
「ラブラドールのスミレ」の葉は「黒い」です。でも、「リヴィヌスのスミレ」の葉は、きれいなみどり。(なお、左上の画像中、ふちがギザギザの大きい葉は、ヘレボルス・アルグティフォリウス Helleborus argutifolius のものです。)
ですから、葉っぱがみどりの「リヴィヌスのスミレ」を、葉っぱが黒い「ラブラドールのスミレ」と偽って売れる理由がわからない。つまり、「ラブラドールのスミレ」の葉は黒い、ということを隠しているということだ。いやあ、その黒い葉が魅力なのだが。
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/75/565f0c3dbb18890668ae8a3285e6e52d.jpg)
2022.04.20撮影(Viola labradorica) 2021.04.18撮影(Viola riviniana)
文句たらたらで失礼いたしました。