2021.07.08撮影
今日ご紹介の植物は、ハックルベリー(Huckleberry)です。英語の huckleberry の berry の部分は、次の berry と同じです。
・ブルーベリー(Blueberry)
・ブラックベリー(Blackberry)
・ストローベリー(Strawberry)
・ラズペリー(Raspberry)
「ハックルベリー」という名称自体は、みなさまも、アメリカの作家、マーク・トウェイン(Mark Twain)の書いた名作に登場する人物の名前として、お馴染みかと思われます。これらの「子ども向け」の小説に登場するトム・ソーヤー(「冒険」の1作目の主人公)とハックルベリー・フィン(「冒険」の2作目の主人公)は、親友です。
1876年出版
「トム・ソーヤーの冒険(The Adventures of Tom Sawyer)」
1884年イギリス出版/1885年アメリカ出版
「ハックルベリー・フィンの冒険(Adventures of Huckleberry Finn)」
ハックルベリー・フィンは、通常、「ハックルベリー(Huckleberry)」をさらに短くして「ハック(Huck)」と呼ばれます。ただ、「ハックルベリー」自体が本名かどうか怪しいものです。なぜなら、huckleberry というのは、「小さくて、重要でないもの」という意味だからです。いくらなんでも、親が、たとえ飲んだくれであっても(ハックの父親は飲んだくれであった)、自身の子どもにそんな名前をつけないでしょう。
マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』
植物のハックルベリーの方なんですが、これは、「小さくて、重要でないベリー」ということです。でも、実際には、多くのハックルベリーが動物にも人間にも食べられています。人間の口に美味しいのもたくさんあります。ただ、「小さい」ベリー(のような果実)を十把一絡げに「ハックルベリー」と呼んでいるために、ハックルベリーとだけ言えば、一体どのベリーのことなのかわからない・・・
ハックルベリーと呼ばれる植物は、ツツジ科(Ericaceae)で、2属に渡ります。以下は、例です。black「黒」だの、blue「青」だの、同じような名前が・・・
Gaylussacia(和名はないもよう)
Black huckleberry「黒いハックルベリー」Gaylussacia baccata
Blue huckleberry「青いハックルベリー」Gaylussacia frondose
Bear huckleberry「クマのハックルベリー」Gaylussacia ursina
Vaccinium(スノキ属)
Black huckleberry「黒いハックルベリー」Vaccinium membranaceum
Blue huckleberry「青いハックルベリー」Vaccinium deliciosum
Red huckleberry「赤いハックルベリー」Vaccinium parvifolium
ところで、ここまでが、前置きなんです。すみません。
どうか、もう一度、冒頭の画像をご覧ください。これは赤い実で、ハックルベリーのうちの Red huckleberry「赤いハックルベリー」Vaccinium parvifolium です。
この 「赤いハックルベリー」は、画像で見えるように、ベリーが小枝の下にぶら下がってつきます。次の画像もご覧ください。実の色は、濃いオレンジ色から真っ赤なのまであります。大きさは、6〜10ミリ。丸い葉っぱがかわいいです。細い枝が微妙にくきくきと曲がっています。
2021.07.08撮影
「赤いハックルベリー」はうちには何本かあるのですが、実は、わたしは花を見た、という記憶がない・・・庭にある花が咲けば、大抵は写真撮影するのですが、撮りためた写真のどこにもない。
それで、英語版Wikipedia(日本語版Wikipediaには記載がありません)にお世話になることにしました。以下のリンクをクリックしてウィンドウを横に拡大してくださると、画像が細かいところまできれいに見えます。この記事の画像自体もいいし、画像を使っての画面構成もすごくいいと思いますので、ぜひ、ご覧になってください。
Vaccinium parvifolium(英文+画像)
左下のピンク色の目立つ Fresh leaves and buds(新葉と「ツボミ」)に、わたしはまず目が行きました。え? あのピンクのがツボミだった? いやいや、この英語の buds というのは「花のツボミ」ではなく、「葉のツボミ」のことだろう。
赤い実は見慣れているので、特に見る理由もなく、次には、画像が5枚並んでいるうちの右上の画像を見ました。Blossoms(咲いている花)ですって? これが〜〜???? これ、見たことあるけど、実の若いのだと思っていた。花だなんて思わなかった。
それでも疑い深く調べ続けると、次の記事の上から5番目の画像でも、こんなやや赤みがかった緑っぽい花が出てきました。
Red Huckleberry
これが「赤いハックルベリー」の花だったのか。何年もお付き合いしてきた「赤いハックルベリー」の花を今まで知らないとは、恥ずかしい。見ているけれども、見ているものが花だとは理解していなかったんだ。今は実の季節なので、花との正式な対面は、来年の春まで待つしかありません。
わたしの住むカナダのブリティッシュ・コロンビア州では、「赤いハックルベリー」は、ちょっと山手に入るといくらでも生えています。木全体、枝、葉のつき方、など、姿は優しく美しいです。大きいのは4メートルにも達し、夏に山歩きをすると、山道の両脇に生えているのから頭上に枝が差しかかるのが涼しげです。
2021.07.08撮影
高度にもよりますが、7月初旬には、もうベリーが赤くなります。そうすると、つまんで食べてみる人も多いんですが、酸っぱいんです。やはり、このベリーも、野生のクマさんや鳥さんたちに残しておきましょう。
ブルーベリーはクマさんもお好き
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