金木犀の花の写真素材
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今日から、数日間にわたり、名称が妙に(奇妙に?)つながっている、
・モクセイ
・ヒイラギ
・ナンテン
を、比較したいと思います。
まず、今日は、キンモクセイ。
和名 キンモクセイ(金木犀)
モクセイ科(Oleaceae)モクセイ属(Osmanthus)
学名 Osmanthus fragrans var. aurantiacus
英名 Fragrant olive
* ギンモクセイ(Osmanthus fragrans)の変種
キンモクセイは、秋に、「こんな季節にこんな派手やかな色の花が?」と思わせる花を咲かせますよね。そして、強い芳香。
わたしは、大学生の時、友人たちといっしょに一軒家を借りて住んでいたのですが、そのお家の庭にキンモクセイがあり、それが強く印象に残っています。
キンモクセイ
上記Wikipediaの日本語版のキンモクセイの記事には、
> 中国原産。日本には江戸時代(17世紀ごろ)に雄株だけが渡来し、実を結ばないため、挿し木で北海道と沖縄以外の日本中に増やされた。
と書かれています。また、
> 雌雄異株の植物で、(中略)日本では花付きの良い雄株しか移入されていないため実を結ばず、中国まで行かないと実を見ることはできない。
とも書かれています。でも、よく読んでみると、雄株は、
> 雄しべが2本と不完全な雌しべを持つ。
とも書いてある。
雌雄異株
を見てみました。
> 雌雄異株(しゆういしゅ)は(中略)植物の性による種の分類
> 雄の生殖器官と雌の生殖器官を別個体の植物で持っているもの
また、
> 同一個体が持つ場合は、雌雄同株
というのは、植物好きの人になら、よく知られたことだと思います。
でも、それに加え、雌雄混株と呼ばれる
> 何かしらの条件で雄に雌の生殖器、または雌に雄の生殖器が出来る
ものがある、ということを、わたしは今回勉強しました。
ですから、
・キンモクセイは、雌雄異株である
・キンモクセイの雄株には、不完全ながらメシベもついている
・よって、正確には、キンモクセイの雄株は雌雄混株である
・しかし、キンモクセイの雄株には実がならないので、単に雄株と呼ぶ
ということでしょうか。
でも、もうひとつ気になったことがありました。日本には全く雌株がないのか? 雌株が全くない、というのは、不自然なような・・・
それで、原産地である中国の中国語版のWikipediaも見てみました。
丹桂
そこには、
> 因雄株開花數量較多,因此在日本作為園藝種植的丹桂基本都是雄株。
と書かれていて、
これは、「雄株の方が(雌株に比べ)花数が多い、よって、日本で園芸として栽培されるのは、基本的には、雄株である」という意味だと思うんですよ。ですから、この「基本都(=基本的には)」という言葉尻だけを捉えれば、日本に雌株も存在するのではないだろうか・・・と。
キンモクセイは、わたしは、子どもの時からの憧れの植物なんですが、いまだに自分の庭に持ったことはありません。実家にはなかったので、いずれ、と思っていたのですが、カナダのバンクーバーに居を構えることになり、ここでは今まで寒すぎて。
アメリカやカナダでは、アメリカ合衆国農務省(USDA)の出す「植物耐寒域区分(Plant Hardiness Zone)」の番号を、生育条件の目安としてよく使います。
アメリカのミズーリ州に、ミズーリ植物園(Missouri Botanical Garden)という、庭園、植物園があるだけでなく、植物学の研究も行っている、由緒ある機関があります。そこのサイトを見てみますと、キンモクセイの「耐寒域区分」は、本文中で「8b-11」、表中で「8-11」となっています。
バンクーバーは、温暖化に伴って「耐寒域区分」が上がってきているのですが、それでも、平均的に見て「8b」、暖かめの海沿いでは「9a」、気温が低めの地域は「8a」です。山がちの方は、もっと寒くなります。
バンクーバーは、以前は「7b」でした。(数字の低い方が寒く、「a」の方が「b」より寒い。)ですから、平均で、「7b」から「8b」に上がっているのです。
温暖化よね、イチジクがこんなに取れるのは
ということは、今までキンモクセイがバンクーバーで普通に植えられてきたことはなかった、でも、これからは、可能かも、ということだと思います。よし、植物屋さんに出かけたら、見張っておこう。
キンモクセイについての日本の各種サイトを見てみると、キンモクセイは中国が原産だと書いてあります。でも、英語の各種サイトを見てみると、日本が原産だと書いてあるのがあります。これは、日本人自身が日本原産だと主張していない以上、中国から直接ではなく、日本を経由して移入されたかもしれないのを、アメリカ人などが勘違いして書いてあるのだと思います。
また、英語のサイトには、キンモクセイは、中国に加え、中国南部、ヒマラヤ、が原産だ、と書いてあるのもあります。タイ、ミャンマー、ネパール、ブータン、インド、まで挙げてあるのもあります。それを地域的に「平均」してみると、ヒマラヤ、ということなんでしょう。
キンモクセイは中国が原産だ、というのは、言い切りすぎなのかもしれません。中国南部、と思っておいた方がいいのでしょうか。
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