※壮大なネタバレあります。
芋子「視聴率20%超えを連発する大好評のNHK朝ドラ『なつぞら』。前回の記事(第2週(12話)まで観た段階)では厳しい評価をさせていただきましたが……」
小野「広瀬すずさんが本格的に登場してからの2週間で確変したね」
芋子「正直、11~12話の山田家問題が急に発覚してからの即解決は駆け足過ぎてカタルシスを得られなかったのに、ネット上では多くの視聴者が感動されているので、私にはこのドラマは向いていないと思っていました」
小野「12話と13話の間で9年が経過し、ヒロイン奥原なつが高校生に。役者も子役から広瀬さんにバトンタッチ。それ以降はマジで毎回面白い」
芋子「放送上は既に第5週まで終わっていますが、今後この第3・4週を超える感動があるのかというくらい良かったですね」
小野「早速この2週間を振り返ってみるか」
<牛の破水からの出産で一気に引き込んだ13話>
芋子「広瀬さん本格参戦の初回が早くも神回となりました」
小野「生まれた仔牛が息をせず、なつの人工呼吸によって羊水を取り除いたシーン」
芋子「私は助からないと思っていましたが、まさかの仔牛が目を覚まします」
小野「その感動を引き立てたのは間違いなく広瀬さんの迫真の演技力だった。それまで一定の距離を置いて視聴していたのに、そのシーンで完全に物語の世界に没入しちゃったよ」
芋子「羊水を口に含んで吐き出す演技なんて良く引き受けましたよね。若い女性が身体を張ったという意味も込めて、あの演技は100点です」
小野「もちろん周囲のベテラン俳優陣の演技も完璧だったからこそだからね」
<農協と泰樹の確執>
芋子「その後の14・15話で農協と泰樹じっちゃんの確執が明らかになります」
小野「ポイントは泰樹は悪役ではなく、なつの尊敬するじっちゃんであるということだね。そして泰樹もなつのことを大事に思っている」
芋子「その相思相愛は11~12話でちゃんと描いているので、視聴者も泰樹を悪役だとは思わず、農協と泰樹の両方に感情移入出来るようになっていますから、話が俄然面白くなりますし、構成が上手いですよね」
小野「農協に務める剛男も、なつにとっては父親同然。2つの意見で板挟みにされるなつの苦悩を、視聴者もそのまま感じられるようになっているのも実に面白い」
<女優編で更に面白さを増す>
芋子「農協問題になつ自身の答えを出そうと、彼女は演劇部に入ります」
小野「ここからが第4週だね。どんどんアニメ業界から離れていくかと思いきや、実はアニメーターも女優も表現力という点において酷似している」
芋子「戦争孤児だった自分を拾ってくれた柴田家への恩返しの為だけに9年間生きてきたなつが、ついに100%自分の意志でやりたいことを始めるというのも感慨深いですね」
小野「その演劇も当初は農協に反対する泰樹の心を動かす為にやっていたのに、途中から自分の為になっていたからね」
芋子「後にアニメーターというなつの本当になりたい職業が見つかる展開になるのでしょうが、こうやって自分の意志で動くことが、夢への第一歩となったわけです」
小野「そしてここでも広瀬さんの演技力だよね。演技が少しずつ上手くなっていく過程を完璧に演じるには彼女ほどのキャリアが必要。広瀬さん無くしてこのドラマは成立しなかった」
<なつと天陽の関係>
芋子「最後に天陽君についてです」
小野「うーん。いずれはなつとの恋仲に発展するんだろうけどさ」
芋子「朝ドラらしい王道展開ですし、素敵なことじゃないですか」
小野「確かに本来なら恋愛は朝ドラの核の一つでもあるよ。150話という長尺で、結婚したその先、場合によっては子供が生まれた先までもを描く“人生ドラマ”“家族ドラマ”の側面も持つからね。ただ『なつぞら』の場合、恋愛面だけは微妙かな」
芋子「感情移入できないのですか?」
小野「いやさあ。彼は正直、急に登場して急になつと出会ったからね。問題の11~12話も、山田家(天陽)と柴田家(なつ)に接点を作る為の舞台装置になっていたし」
(※これは個人の見解です! 感動した皆様ごめんなさい!)
芋子「しかし、天陽君がきっかけでなつも絵を描くようになりました。彼の絵が演劇の舞台美術に採用されたり、なつが演劇の登場人物を絵に描いてイメージしてみたりと、やはりアニメ業界に少しずつ近付いてきています」
小野「第5週以降に期待しよう」
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