新宿副都心、スバルビルの地下1階に「新宿の目」はある。
新宿西口から都庁方面へ向かう地下街沿いにあるから、人並は絶えることがない。
目まぐるしい新宿の1日を見つめる巨大な目。
これはスバルビル竣工と共に、1969年に芸術家・宮下芳子氏によって製作された作品である。
すでに40年以上経った現在でもその存在感は薄れない。
新宿に目は巨大なガラスアートであり、かつては薄暗い地下街で発光していた。
眼球部分は万華鏡のようにくるくると回る。
しかしながら、近年は消灯して正気を失ってしまっていた。
どうやら、震災以降は節電のため点灯を休止していたらしい。
そんなある日、西口地下街を歩いていると新宿の目がらんらんと輝いている。
つい最近に、再点灯下らしい。(ちなみに内部電球もLEDに交換されたという)
灰色の景色の中で、久しぶりに生気を取り戻したその目は美しく、また怖ろしかった。
妖美的な雰囲気を放つ目の前を、スーツの人たちがせわしなく通り過ぎていく。
新宿の目が光ったって光らなくたって、新宿の人たちにとってどうでもいいことなのだろう。
それが新宿という街である。
そんな人々を新宿の目は見つめている。