福 風

心にとまった物や想いを集めて。穏やかな風が吹きますように。

土の中の子供

2008-01-07 | 




1/50冊 『土の中の子供』


気になるタイトル、芥川賞受賞作品という帯、年頭に立てた志を遂げるとっかかりとしては挫折せず読みきることができそうな本の厚み、という理由で、昨年末購入していた本の中の一冊。

まず。年明け一発目に読むには暗く、重いテーマでした。
途中で、読むのまたにしようか・・・と挫折しそうになりましたが、出だしからくじけてはいかんと思い直し、読みきりました。

本のタイトルの意味するところは、文中のある場面の描写から由来しています。
それぞれの家庭の事情があるにせよ、いわゆる普通に家庭で家族を営んできた人間の生活ではありえない体験をした男性のお話です。

ここに貼り付けた作者のHPのコメントに、
「悪意は人々の無関心の中で行われる」とありました。

作り話のような、通常の(何をもって通常というかなんてのもあってないようなものですが)思考を逸脱するような恐ろしい狂気の中で、それを日常として生きていかざるをえない境遇の人がいる事実を、この本を通じて目を逸らさず知る必要はあると考えさせられました。

心に余裕があるときに読まれることをお勧めします。
余裕のない方には、心に重くなりすぎると思われますのでご注意下さい。