朝の連続テレビ小説『ちりとてちん』で、新たな層からも脚光を浴びるようになった落語。
つい先日も、総集編と題して再放送されていたようです。
それとは別に、以前番外の特別編として夜中に連続して放送されていた、本物の噺家さんによる過去の名演の数々。中でも、昭和58年3月6日放送「東西落語特選」より、人間国宝の上方落語家、桂米朝さん(82)による『はてなの茶碗』は実に素晴らしく、ようけ(たくさん)笑わせてもらいました。
お話自体が面白いのは基より、米朝さんの流れるような言葉運びが聞いていて心地良いのです。京都に修学旅行に行かれたことある方で、清水寺の光景を思い浮かべることが出来る方だと、ことさらこのお話を楽しめることと思います。
うまい噺家さんというのは偉いもので、ひとたび本題を話し始めると噺家さん自身の気配が消えて、登場する人物同士がそこで本当に会話を交わしているように錯覚してくるんですね。話すスピード、声の大きさ、声のトーンを巧みに使い分けていきます。
お話の筋をご存知の方ならお分かりかもしれませんが、私がとりわけ好きなくだりは、水の漏る湯飲み茶碗が、まるでわらしべ長者のごとく、どんどんと価値を増していく様を『覗いても調べても傷はない、はてな』という文句を使いながら話を次々と転がしていくところです。
もう、15回くらいは繰り返し観ているくらい、心から笑えるお話です。
今日は、日中に落ち込む出来事があり沈んでいましたが、米朝さんの『はてなの茶碗』を観て、笑えたお陰で随分救われました。
笑いは大切ですね。
そういえば、先日米朝さんが腰椎骨折という大怪我をなさったとニュースで観ました。一日も早い回復を願うばかりです。そして、また、今の米朝さんならではの落語を披露していただきたいと思います。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます