過日の町内(一丁目)の清掃日・・・
少し風はあったが天気も良く、私は軽い足取りで自治会館へ向かった。
今年、私は自分の意思とは関係なく、、くじ引きで役員に選出されてしまい、
春から町内の活動もすることになったのだが・・・
一丁目の自治会はA~Gのグループの20班に分けられており、私の住む
マンションはFグループで私は18班の8組・・・くじ引きの結果その副班長と
8組の組長となったのだ。
冒頭の町内清掃のため9時に自治会館へ集合、私たちの受け持ち区域は
前回同様N公園とその周辺。
季節柄雑草の伸びは予想以上で公園内は子供たちの遊ぶ中央付近の草も
短いが一面に拡がっていた。
公園の中は人が歩かない端のほうの草がかなり伸びて、膝あたりまで達する
ものも少なくなかった。
私たちが中央部分で草を取っていた時、「ごぼっ」と抜いた草の塊の先から
一匹の大きなコオロギが飛び出してきた。
私が静かに手を伸ばすと慌てて逃げる様子もなく、ほんの少し歩いては止まり、
私の動きを見ているように見えた。
草を抜きながら進むと私の少し先にいる人の足元へ入っていったが日射しを
浴びた背中(翅)はまさに黒光りでつやつやとしており、足の付け根は
ボディビルダーの筋肉を想像させるような太くて張りのあるしっかりとした
感じのもので産卵管も太く長く、立派に見えるものだった。
コオロギをこんな間近で見たのは何十年ぶりだろう。
子供の頃に友達と一緒に捕まえた記憶が微かに蘇ってきた。
あの頃は子供ながらも優しく扱おうと思い、素手でふわっと押えて捕まえたことも
懐かしく思い出される。
草取りの後半、公園の端のほうでの作業の時にもまた一匹見かけたが
そのコオロギには産卵管がなく、小さなものだった。
コオロギとの思いがけない出会い・・・たかが虫を見かけただけで・・・という思いも
当然あったが心はなぜか嬉しく切ないような気持ちになっていた。
幼き日に友達と一緒に秋の虫探しに興じた懐かしい時間がすぐそこに
戻ってきたような気がしたからだと思う。
作業は少しきつかったが秋の柔らかい陽射しの中で「ほっ」とする時間を
持てたことも不本意(?)ながら役員になったちいさなご褒美と言えるだろう。