最近は急に気温も下がり、空や周りの緑からも秋を感じるようになったが
民家の庭の柿の色も次第に濃くなり、店頭にもたくさん並ぶようになってきた。
私は常々果物では柿が一番美味しいと思っているが、今年は昨日までまだ
食べていなかった。
妻が友達から幾つかもらったものを朝食後に食べたがほぼ一年ぶりの柿の
旨さはやはり何物にも代えがたい素晴らしいものだった。
その柿は自宅の庭で採ったものだということで大きさや、形なども一般的な
ものだったが香りもよく、硬さも甘さも私にはちょうど良い感じで思わず目を閉じて
顔が自然に上向きになっていった。
子供の頃から柿が好きで、柿の木のある家へ遊びに行くのが楽しみであった。
多少渋くてもかじりつきお互いに笑いあったことが懐かしく蘇る。
歯ごたえのある柿、ちょっと柔らかくなった柿、よく熟した柿、干し柿、いずれも
それぞれ特有の旨さが口の中に拡がり脳にまで達するような感覚・・・
私にとってはこれ以上の果物はない・・・まさに果物の王様である。
子供の頃は各家庭に冷蔵庫などはなかったが最近は冷蔵庫のお陰でデザートと
しての食べ方やレシピと言われるものも1000種類ぐらいあるという。
私は生の場合はそのままシンプルに食べるのが一番・・そして干し柿はあの
独特の香りと、もっちりとした感じを味わいながら喉を通す瞬間が好きなのである。
柿が好きだとは言えめったに口にできない高級な干し柿もたくさんあり、さすがに
美味しい物だと感じるが、家庭で作る素朴な干し柿の味はまた格別で一個一個
バランスが取れてない味を感じるのも大きな楽しみなのである。
我々『爺さんカルテット』の中の一人の奥さんは毎年、必ず干し柿を作ってくれて、
私たちに提供してくれているが、天候によって出来栄えが違うことなどそれなりに
難しい面もあるようなので、感謝しながらいただいている。
民家の柿がたわわに実っていてもいつまでも採られることなくそのまま落下して
しまうというケースも時折見かけるが、それは最近の若者や子供たちは柿を
食べないからだという。
美味しくて栄養価も高い柿を食べないとは実に勿体ない・・・。