君は誰?51

2025-02-22 10:02:22 | 日記
「おい!」

正人は、声をひそめて、2階の窓に声をかける。

「おい!松田…。大丈夫か?」

し…んと、静まりかえっている。

すると、うっすらと、すりガラス越しに人影が見える。

「松田だ!おい!松田!松田!」

正人は大きな声で呼び掛ける。

すると、その人影は、すうっーと、奥へ入っていった。

「松田!松田!」

「おい、もういいよ。近所迷惑だし…帰ろう」

直樹は、正人を止めると、帰るように促した。

「松田、やっぱり変だよ。何かあったんだよ」

直樹は、再び松田の家の二階の窓を振り返った。

すると、急に2つの手のひらが、まるで助けを求めるかのように、すりガラスごしに見えた。

「え?!」

「何?」

「い、いや、何でも…」



君は誰?50

2025-02-19 08:59:36 | 日記
直樹と正人は、学校の帰りに、まっすぐ松田の家に向かった。

ピンポーン!…ピンポーン!

出ない。

「病院かな?」

「かも知れないな…」

「大丈夫かな?…絶対様子がおかしかった」

「そうだな…。」

「何かに怯えていたし、なんと言っても、帰りに四つん這いで逃げてた…」

直樹は、松田の部屋だと思われる2階の窓を見上げた。

「おい!」

正人は、声をひそめて、2階の窓に声をかける。

「おい!松田…。大丈夫か?」

し…んと、静まりかえっている。





君は誰?49

2025-02-16 08:03:22 | 日記
心霊スポットと言われる廃学校を探索した直樹たちは、無事に自宅にたどり着くと、翌日は、何事も無かったかのように、学校へ向かった。

教室に向かうより早く、正人が走りよってきた。

「おい…。松田がまだ来てない。」

「え?来てない?…」

松田は、いつも登校が早い。

「やっぱり、おかしな事になっちゃったのかな…」

「………」

「帰りに、松田の家に行ってみる?」

「…そうだな。」

結局その日、松田は来なかった。

「あの…。松田は…どうしたんですか?」

直樹は、心配のあまり、とりあえず先生に聞いた。

「今朝方、熱が出たらしくて、お母さんから連絡があった。」

「…そうなんですか…」

「直樹、松田んちに行ってみよう。」

君は誰?48

2025-02-12 09:25:21 | 日記
四つん這いで走り去った松田を、呆然と見送った直樹と正人は、あわてて追った。

自転車をとめて置いた場所まで走り付くと、松田の自転車は無かった。

「だ…大丈夫かな?…松田…」

「自転車に乗って帰ったみたいだし…大丈夫だろう…」

「いったい何なんだ…。松田には何が見えたんだ…」

二人は今来た道を振り返った。

雲に隠れた月がうっすらと学校を照らす。

闇の中に潜む白い建物がやたらと大きく見える。

「か、帰ろう…。」

二人は、深い溜め息をつくと、自転車をゆっくりとこいだ。

君は誰?47

2025-02-08 09:36:55 | 日記
「何も無いよ!大丈夫だよ」

正人は笑って松田の背中をたたく。

「うわっ!」

正人が背中をたたいたせいなのか、松田は腰を抜かしたかのように尻もちをついた。

「あ、ごめん!大丈夫か?」

松田は、地べたに座り込んだまま、静かに後ろを振り返る。

「ひっ!うっ、うわ~~~!!!」

松田は聞いたこともない声を出して、四つん這いで走り出した。

直樹は呆然として、松田を見ていたが、苦しくなって、我に返った。驚きのあまり息をしていなかったようだ。

「お、おい!!松田~!」

直樹と正人は、四つん這いで走り去った松田を追った。