君は誰?43

2025-01-23 09:34:29 | 日記
松田は、目を閉じ黙って鏡の前にある椅子に座ると、ゆっくりと目を開けた。

「映ってる」

さっきまで『自分が映らない!』と混乱していた松田だが、今度は落ち着き払って鏡を見つめている。

「な、大丈夫だろ、映ってるだろ!」

「もう、いいから帰ろう!」

「あっ…誰?……誰だ?」

「何?今度はどうした?!」

「オレの後ろに…誰か立ってる」

「え?」

鏡を覗き込んだまま、松田は自分の後ろに映るらしいモノを指差した。

「誰もいないよ。松田の後ろは壁だよ」

「ううん…。誰かいる」

「やめろよ!もう帰ろう!」

正人は無理やり松田を椅子から引き離した。



君は誰?42

2025-01-20 08:27:43 | 日記
「どうしょう!!どうしょう!!」

松田は混乱している。

「大丈夫だよ!映ってるよ!」

「いないよ!いないよ!」

「松田!松田!しっかりしろ!」

松田は、急に目を閉じると、操られるように、椅子に座った。

「だ、大丈夫か?松田。」

「もう、帰ろう!」

「うん。帰ろう!」

松田は、目を閉じたままだ。

「おい、松田…。おい。」

「…静かに…してくれ…」

松田は、急に冷静になって、椅子に座ったまま、目の前の鏡を見た。



君は誰?41

2025-01-16 10:15:53 | 日記
「おかしい…、鏡がすごく曇ってる…」

松田は、ごしごし、ごしごし…と、力一杯鏡を拭く。

しかし、直樹と正人には、全く曇っては見えない。

「あっっ!!み、見ろよ!!」

松田が顔面蒼白で鏡を指差した。

「オレが…、オレが映ってない!!💦」

「え?!」

正人も直樹も鏡を覗き込むが、ちゃんと3人映っている。

「3人映ってるよ」

「いや!オレがいないんだよ!鏡の中には、二人しか映っていないんだよ!!」

「そんなことないよ」



君は誰?40

2025-01-12 10:18:42 | 日記
「もう、帰ろう」

「あれ?鏡が…」

「鏡がどうかしたか?驚かそうとしても、ダメだぞ!」

正人が笑った。

「すごく曇ってきて…見えない」

「そもそも、最初から曇ってたけどな」

「違うんだよ。最初はちゃんと自分が映ってたのに、見えなくなった」

「曇ったんじやない?」

「そうかな?」

松田は、ごしごしとハンカチで鏡を拭いた。

「やっぱり鏡がすごく曇ってるよ。」

「…曇ってないよ…。」



君は誰?39

2025-01-09 09:04:51 | 日記
「降霊術のやり方…まず、椅子に座る。…あ、それでこの椅子がここに置いてあったんだ!」

松田はブログに貼られたリンクを開いて、降霊術のやり方を始めた。

そして、躊躇なく椅子に座った。


「…で、どうするの?」


「やめろよ」


直樹は松田をたしなめた。


「大丈夫だよ!本当に降霊術なんて出来るワケないじゃん!…で、前にある鏡を見る。」

松田はしばらく鏡を見ていた。

「…で、どうするの?…え?椅子に座って鏡見るだけ?これだけ?…な~んだ!鏡を見てても何も起きないじゃん!」

「もう、帰ろう!」

直樹は、興味半分で降霊術を試して笑っている松田を嗜めた。