君は誰?49

2025-02-16 08:03:22 | 日記
心霊スポットと言われる廃学校を探索した直樹たちは、無事に自宅にたどり着くと、翌日は、何事も無かったかのように、学校へ向かった。

教室に向かうより早く、正人が走りよってきた。

「おい…。松田がまだ来てない。」

「え?来てない?…」

松田は、いつも登校が早い。

「やっぱり、おかしな事になっちゃったのかな…」

「………」

「帰りに、松田の家に行ってみる?」

「…そうだな。」

結局その日、松田は来なかった。

「あの…。松田は…どうしたんですか?」

直樹は、心配のあまり、とりあえず先生に聞いた。

「今朝方、熱が出たらしくて、お母さんから連絡があった。」

「…そうなんですか…」

「直樹、松田んちに行ってみよう。」

君は誰?48

2025-02-12 09:25:21 | 日記
四つん這いで走り去った松田を、呆然と見送った直樹と正人は、あわてて追った。

自転車をとめて置いた場所まで走り付くと、松田の自転車は無かった。

「だ…大丈夫かな?…松田…」

「自転車に乗って帰ったみたいだし…大丈夫だろう…」

「いったい何なんだ…。松田には何が見えたんだ…」

二人は今来た道を振り返った。

雲に隠れた月がうっすらと学校を照らす。

闇の中に潜む白い建物がやたらと大きく見える。

「か、帰ろう…。」

二人は、深い溜め息をつくと、自転車をゆっくりとこいだ。

君は誰?47

2025-02-08 09:36:55 | 日記
「何も無いよ!大丈夫だよ」

正人は笑って松田の背中をたたく。

「うわっ!」

正人が背中をたたいたせいなのか、松田は腰を抜かしたかのように尻もちをついた。

「あ、ごめん!大丈夫か?」

松田は、地べたに座り込んだまま、静かに後ろを振り返る。

「ひっ!うっ、うわ~~~!!!」

松田は聞いたこともない声を出して、四つん這いで走り出した。

直樹は呆然として、松田を見ていたが、苦しくなって、我に返った。驚きのあまり息をしていなかったようだ。

「お、おい!!松田~!」

直樹と正人は、四つん這いで走り去った松田を追った。

君は誰?46

2025-02-03 10:20:58 | 日記
「うっ…うっ…」

「松田…、大丈夫か?」

「来な…い…。来ない…で…。」

「え?」

「うしろ…。ぼくのうしろにいるんだ。」

「だ、誰が?」

「わからない…。…何か…何かが…ついて来てる。」

「まじかよ…。」

正人は恐る恐る振り返った。

直樹もそっと振り返る。

何も無い。

「何も無いよ!大丈夫だよ」

正人は笑って松田の背中をたたく。



君は誰?45

2025-01-31 08:15:50 | 日記
「松田!」

「松田!しっかりしろ!!」

「来るな!」と叫んでしりもちをついた松田は、周りを見回しながらゆっくりと立ち上がった。

直樹と正人は、両脇から松田を支えて自転車を置いた場所へ急ぐ。

「うっ…うっ…」

「どうした?!松田!」

松田は、ゆっくり歩きながら肩を震わせて泣いている。

「大丈夫か?自転車乗れるか?」

「誰か呼ぼうか?」

「大丈夫だよ。自転車乗れるよ…」

泣きながら力無く歩く松田を、二人は、尚一層強く支えた。

「うっ…。うっ…。来な…い…」

「え?なんて?」

「来ない……」

「何が?何が来ないの?」