「おじいちゃん…。ちょっと聞きたい事があるんだけど…」
夕方、新聞を見ている祖父に改めて話しかけた。
「どうした?」
「あの…『いさみや』の物置小屋にある箱の件だけど…」
祖父の表情が一瞬曇ったが見えた。
「おじいちゃんは、その箱の話しには、触れなくないかも知れないけど…。他に聞ける人がいなくて…。教えてほしいの。」
「どうした?」
いつになく神妙な顔つきの夕美に、覚悟を決めたかのように、祖父も座り直した。
そして、一連の出来事をすべて打ち明けた。
「…そうか…、そりゃいかんな…。たろう様の怒りだ」
「たろう様?」
「あの箱に入っているのは、たろう様だ。」