しばらくしたある日の朝、4人が、仕事を始める支度をしていた。
「あのさ、例の箱!衣栄ばあちゃんから重要な話し聞けたよ」
徹弥が興奮気味で話しはじめた。
「ホントか?」
飛び付いたのは幹太だ。
「ばあちゃんに、思いきって『いさみや』の物置小屋に開かない小さい箱があるの知ってる?って聞いてみたんだよ」
「うんうん!」
「そしたら、知ってるらしくて…。あの箱、『いさみや』の前の『かねみつ』って旅館でも物置小屋はそのままで、箱もそのまま受け継いだらしいよ」
「ほお…」
「そもそも、受け継ぐって言い方からして、物々しくない?」
「確かに…」
「受け継ぐって、そんなすごい箱なの?」
「わからん」
「…で、あの箱は開けちゃダメだって!」
「うん、詳しくは話してくれなかったんだけど、開けちゃならん…って言われてるらしい」