「実は私、子供がいるんです」
坂元は一瞬黙った。
「なので…先輩の期待には答えられないかも知れません」
「…そうか…」
坂元は宙を見つめた。そして、ゆっくり話しはじめる。
「話してくれて良かった。」
「…え?」
「子供の件を話してくれたということは、僕とのことを真剣に考えてくれているからだろう?」
「…え?まぁ…はい」
「そんな事、心配する事じゃないよ。僕は子供が好きなんだ」
「…でも…、子供が好き…という事と、更にその子供を育てることとは話が違うと思うんです」
「わかってるよ。すべて受け入れたいんだ」
「……」
坂元の前向きな言葉に、二つ返事で喜べなかった。
「ありがとうございます。だけど、とても大切なことだから、返事は待ってください」
「……そうだね。」