続ストーカー15

2023-01-30 09:33:44 | 日記
「実は私、子供がいるんです」

坂元は一瞬黙った。

「なので…先輩の期待には答えられないかも知れません」

「…そうか…」

坂元は宙を見つめた。そして、ゆっくり話しはじめる。

「話してくれて良かった。」

「…え?」

「子供の件を話してくれたということは、僕とのことを真剣に考えてくれているからだろう?」

「…え?まぁ…はい」

「そんな事、心配する事じゃないよ。僕は子供が好きなんだ」

「…でも…、子供が好き…という事と、更にその子供を育てることとは話が違うと思うんです」

「わかってるよ。すべて受け入れたいんだ」

「……」

坂元の前向きな言葉に、二つ返事で喜べなかった。

「ありがとうございます。だけど、とても大切なことだから、返事は待ってください」

「……そうだね。」


続ストーカー14

2023-01-27 12:11:39 | 日記
坂元先輩は、新人のこにもアプローチしているらしい…と、遥加から聞いた。

一瞬はその気にはなったが、聞いておいて良かった。


また、坂元先輩からの誘いのLINEが来た。

もう、2度ほど断っている。

あまり断るのも気が咎めるので、そろそろ食事くらいしようか…。

そんなに気分が乗らないまま、坂元先輩が指定してきた居酒屋にやって来た。

…適度に過ごしたら、帰ろう…。

そう思っていると、ポンと肩をたたかれる。

「今来たとこ?」

「はい。」

乾杯をすると、また先輩は2~3杯はグイグイと飲み干した。

「ペース早いですね。何かあったんですか?」

「いや、実は、君に嫌われているんじゃないか…と、思ったので、気合い入れるために、飲んだんだ」

「……そんな…」

「前回、『急用がある』って、誘いを断られて…、仕方ないなぁ…と思ったけど…、君が急ぐ様子もなく、ゆっくりと会社を出て駅に向かう姿を見つけたから…」

「あ…」

「改めて言うよ。僕と交際して欲しい」

「え…、でも、他にも誰かいるんじゃ…」

「誰がそんなこと言ったの?君しかいないよ」

「あの…実は私、子供がいるんです!」


続ストーカー13

2023-01-24 09:57:49 | 日記
「あの、私…!」

「少し酔っちゃったかな?もう、帰ろう」

「あ、はい…💦」

子供が居ることを伝えようと思ったが、チャンスを逃した。

「最近忙しくなってきて、ちょっと疲れているんだ。だから酔いがまわるのが早くて…。あ、さっき、言いかけた話し…なに?」

「あ、次回でいいです」

…確かに…、女性社員の人気の的の坂元先輩からのせっかくの誘いを無にしたくない…。


「昨日、坂元先輩と一緒だったの?」

翌日、同僚の遥加がそっと聞いてきた。

「あ、うん、まぁ…」

「後輩が見かけた…って…。どういうこと?付き合うの?」

そういえば、遥加にはまた、坂元先輩との飲み会をセッティング…という件を忘れていた。

「ま、まさか…。たまたま食事を一緒にしただけ」

「そうなんだ…。あ、私が坂元先輩を気に入ってたってことは、もう、気にしなくていいからね」

「そうなの?」

「坂元先輩、新人の子と食事してる…って聞いたし…。七美にも、そこら辺確認した方がいいよ…って、伝えようと思って」

「…あ、そんな関係じゃないから!大丈夫!」

まぁ…そうだよね。人気者の坂元先輩は、いろんな人から誘われたりするんだろうなぁ…。

子供の件、言わなくて良かった。


続ストーカー12

2023-01-21 08:00:49 | 日記
…金曜日がやって来た。

デートというほどではないが、会社から少し離れた洒落たお店でお酒を飲むことに。。。


…息子が居ることを話さなければ…。

だけど、いきなり「息子がいます!」

と言っても、

『いやいや、結婚のことまでは考えていないから…』
と、思われてしまうのも恥ずかしい。


「乾杯~!」

「誘ってくださってありがとうございます」

「いやいや…そんな、他人行儀な言い方はやめようよ。半年間一緒に仕事して来たんだし、そんな表現は寂しいよ」

「…でも…」

「半年間、一緒に仕事してきて、急に君がいなくなって寂しいよ」

「……」

「週に一度はこうして一緒に飲もう!」

「…あ、でも…」

「噂になるの気にしてる?」

「あ、確かに、それもあります」

「気にしなくていいよ。君と噂になるならうれしいし…」

「……」

息子がいます。…と言って距離を置かれてもいい。

だけど、「大丈夫!結婚までは考えていないんだから…」と、言われそう💦


続ストーカー11

2023-01-18 10:13:38 | 日記
「あのさ、七美さんは、誰かいるの?」

坂元は、突然「七美さん」と名前で呼んだ。

「誰か…って…?」

「彼氏とか…」

彼氏はいないが息子がいます…とは、言えなかった。

「特に…」

「いない?」

「…あ、はい」

「そうなんだ。…それじゃ、デートしよう!って提案しても大丈夫かな?」

…どうしよう…。息子がいることを言わなくては…。

「……」

戸惑っているうちに、うなずいてしまった。

「それじゃ、今度のお休みに、ドライブでもしない?」

「あ…日曜日はちょっと…」

息子と過ごしたい。

「予定あるのか…。それじゃ、週末の仕事終わりなら大丈夫かな?」

金曜日なら、たけるはおばあちゃんの家に行くから大丈夫だ…。

「…はい。」

金曜日に食事でもした時に、息子が居ることを話そう。