ヒトコワ6

2024-03-30 10:09:53 | 日記
その日は、とりあえずゴミをベランダに置くと、"戻って来たゴミ"に言及せず、出掛けて行った。

案の定、その日は帰りが遅くなった。

自宅に着いて、夜10になってしまった。

帰ったら、ゴミの件をお隣さんに聞いてみようと思っていた。

おそらくゴミの出し方に問題があったからなんだろう。

しかし、今日は遅くなってしまって、お隣さんを訪ねる訳にはいかない。

翌朝は、ゴミを出せる日ではない…。

次のゴミの日まで待とう。


その日は、比較的早めに帰宅できた。

ゴミの件、聞いてみよう。

『ピンポ~ン』

お隣の宮本さんを訪ねた。

「はい」

「あ、こんな、時間にごめんなさい。相談があるのですが…」

「どうしたの?」

「昨日、私が捨てたゴミが戻って来てしまって…。原因がわからないんです。教えていただこうと思って…。」

「あ、そのゴミ、私がお宅の前に置いたんです」

「え?」


ヒトコワ5

2024-03-27 09:19:14 | 日記
そして、安子は安泰の日を過ごした。

仕事も順調で、大切なプロジェクトを任せられることになった。

新人としては異例の事で、このプロジェクトの成功によって、希望の部署への移動が叶うかも知れない…という大事なタイミングを迎えていた。


その日は、そのプロジェクトの大切な会議を朝から控えていたので、張り切って玄関の扉を開けると、

ガシッ!

玄関先に扉を邪魔するモノがある。

ビニール袋だ…。

ゴミ?

あ、昨日安子がごみ捨て場に捨てたゴミだ。

…どうして?

ヒトコワ4

2024-03-23 09:34:45 | 日記
ある朝、ゴミを捨てようと、ゴミ収集場所へ。

「おはようございます」

宮本さんだ。

「おはようございます。ここは、収集場所が近くていいですね。」

「そうね。あ、安子さん、これ、今日じゃないよ」

「え?」

「これ、プラスチックだから、明日」

「あ、そうなんですね。」

「なんか、うるさくてごめんなさいね」

「いえいえ、知らなかったので、教えて貰えて良かったです。」

親切に教えて貰って、良かった。

独り暮らしを平穏無事に過ごすのには、こういう細かいトラブルは気を付けた方がいい。

お隣さんが宮本さんで良かった。


ヒトコワ3

2024-03-18 09:41:30 | 日記
「そこのスマイルハウスに引っ越して来た方?」

「え?あ、はい。」

「あ、先日、引っ越しの時に見掛けたものだから…。202号の人よね?」

「あ、はい。」

「私、203号の田中です。」

「あ、同じアパートの方なんですね。私、宮本安子といいます。よろしくお願いします。」

「こちらこそ!私はここへ越してきて3年目なの。分からないことがあったら何でも聞いてね」

「ありがとうございます」

…お隣さんが良い人で良かった…。

安子は、さらに嬉しくなった。


ヒトコワ2

2024-03-14 09:47:21 | 日記
近くのスーパーを開拓に行こう!

引っ越して間もない安子は、近所の安いお店やスーパーなど、散策に出かけることにした。

薬局、コンビニ、病院もある。そして、お目当てのスーパー。

早速入ってみた。

…うん、まぁまぁ、安い!これなら安心して生活出来そうだ。

「こんにちは」

「あ、こんにちは」

見知らぬ女性が笑顔で挨拶してきた。

知り合いではないが、町の人が、気軽に声をかけてくれる優しい雰囲気に、ますます気に入った。