物件 31

2021-11-30 07:39:37 | 日記
次男さんに相談すべきかどうか…と思いながら過ごしていると、枝美ちゃんがレッスンに来なくなった。

電話にも出ない…。

イヤな予感が頭をよぎったが…、

…まさかね…💦

そういえば、実家に帰る…なんて話しをしていたような気がする。

枝美ちゃんにとって、失恋が思った以上にヘビーで、しばらく魂が抜けたようになっていた。

次男さんに相談する前に彼女の家に行ってみよう…と、思った。

彼女のアパートは、静まりかえって、人の気配は無い。

アパートの通路から見える台所の窓越しには、見たことのある布巾が掛かっていた。

枝美ちゃんは、引っ越してはいない。

「ピンポーン!」

何度か呼び鈴を鳴らしたが気配がない。

やっぱり、実家に帰ったのかも。

…と、思った瞬間。

ゴトンッ!

部屋の中から、大きな物音がした。

枝美ちゃん、居るの?

もう一度呼び鈴を鳴らす。

「……」

今度は、気配がない。

「プルルル…」

電話のベルが鳴った。

「プルルル…」

誰も出る気配がない。

やっぱり、留守なんだ…。



物件 30

2021-11-29 09:03:43 | 日記
それからの枝美ちゃんは、『まりちゃん』の存在も忘れ、後輩とのデートを楽しみ、家に居る時間が少なくなったようだ。

もともとの前向きで元気な枝美ちゃんに戻った。

次男さんは、改めて知り合いの霊媒師さんに相談したようだが、「今のままなら大丈夫!」と言われた…と、知らせてくれた。

レッスンに来る枝美ちゃんの足取りも軽く、歩く姿もスキップをしているように見えるほどだ。



…そう思って安心していた頃、状況が一変した。

枝美ちゃんのスキップの足取りが重たい…。

「元気ないね。どうした?」

「うん…別れた」

「え?なんで?」

「私の他に好きな人が出来た…って言われた」

「…そ、そうなの…?」

マズイ💦

たぶん良くない展開だ💦💦

枝美ちゃんが恋に浮かれている間の"まりちゃん"の様子は聞いていなかったけど…、引っ越しをした様子は無いので、また元に戻ってしまう💦

やはり、これは次男さんに相談するべきか…。


物件 29

2021-11-28 08:24:54 | 日記
「好きな人が出来たの!」

枝美ちゃんの言葉に拍子抜けした。

「バイト先の後輩と、たまたま2、3度出かけることがあって…。そしたら急に付き合って欲しい…なんて言われちゃって!」

「ホントに?すごい!」

枝美ちゃんは、その後輩がちょっと気になっていたという。

たまたまが重なって、急展開!

素敵なアクシデント(?)が起きた。

今の枝美ちゃんは、引っ越しが出来なければ、せめて自宅に縛られない方がいい。…と、次男さんも言っていた。

とにかく、ほんの数日で、目の下のクマもなく、顔色もいい好転した枝美ちゃんの顔を久しぶりに見た。

どんな霊媒師より、『恋』が強かった。

「良かった!確かに前向きな恋愛は、何より強いのかも知れませんね!」

次男さんも喜んでくれた。


物件 28

2021-11-27 10:14:26 | 日記
数日して、レッスンの場所に枝美ちゃんが現れた。

あれ?

いつもの枝美ちゃんと違う…。

ここ数日、どんどん窶れていって、目の下のクマも顔色の悪さも際立ってきて、不安でしかなかったのに…、

今日の枝美ちゃんは、顔色もよく、クマも消えて、イキイキしている。

引っ越しをした?

それとも…、

もしかして、自力で"まりちゃん"とお別れしたの?

ちょっと聞くのが怖かった…。

けど、何かあれば次男さんに報告しようと思っていたので、聞かないワケにはいかない。

もしかしたら、霊媒師さんに会わなくても良くなった?


帰り道、枝美ちゃんをお茶に誘った。

「枝美ちゃん、なんだか元気になったね。」

「そう?」

「顔色がいい。何かあった?」

「何かって?」

「えっと…引っ越しをした…とか」

「引っ越しなんてしてないよ」

「…そうなんだ。それじゃ、なんで?」

「あのね、好きな人が出来たの!」

「好きな人?!」

物件 27

2021-11-26 11:39:45 | 日記
本物の霊媒師さんに枝美ちゃんを託すことにした。

だけど、その霊媒師さんに会えるのは来月末…。

それまで大丈夫だろうか?

…というか、霊媒師さんという職業の方とは、全く縁が無かった…。どんなことをするんだろう…。
枝美ちゃんは、もとに戻るのだろうか?

そもそも、私が居たところで、なんの役にも立たないし、ここでお役ごめんかも知れないし…、あとは、次男さんにお任せするしかない…。



来月末までは、まだ3週間くらいあった…。

そして、いよいよレッスンにも出てこなくなった枝美ちゃんが心配で、次男さんに知らせるべきかどうか迷っていた。




数日して、レッスンの場所に枝美ちゃんが現れた。

あれ?

いつもの枝美ちゃんと違う…💦