続ストーカー31

2023-03-28 09:40:42 | 日記
「たけるのことなんですが…。」

「あ、動物園に行く話し?」

「はい。たけるの体調が良くないので…」

「え?そうなの?それじゃ、お見舞いに行かなくちゃ!」

「あの…、その件で、ちょっと、話したい事があるの。」

「え?なに?」

「私、最近、子育てと恋愛と…、両立出来なくて悩んでます。…」

「え?そうなの?…出来てるじゃない?」

「いいえ、出来てないの…。今日も、たけるを留守番させているし…」

「……」

「…坂元さん…、私たち、交際を解消しませんか?」

「え?」

「坂元さんは、とてもいい人です。私にはもったいない」

「何を言ってるの?」

「私、たけるの健康を一番に過ごしたいんです」

「付き合ってたって、それは出来るでしょ。」

「私、器用なタイプではないので…。ごめんなさい」



続ストーカー30

2023-03-23 09:49:53 | 日記
たけるが喘息。

坂元との関係が限界かも知れない。

「今夜、会えませんか?」

「それじゃ、この間行く予定だった、人気のパスタを食べに行こう!」

「いいえ、出来れば静かなお店で」

静かなレストランで会うことになった。


坂元は、少しだけ久しぶりの、二人の時間に意気揚々とやってきた。

「…前に一緒に食事したのは、1ヶ月くらい前なのに、ずいぶん久しぶりのような、気がするよ」

静かなレストランは、その日は空いていた。

「たけるのことなんですが…。」


続ストーカー29

2023-03-19 08:26:05 | 日記
ある日、たけるの体調が崩れ、病院に駆け込んだ。

「喘息です」

前からアレルギーの傾向はあった。

最近、仕事と恋愛と、バタバタとしていて、たけるの体調にまで、気が回らなかった。



「今度、たけるくんも一緒に動物園に行こう」

坂元からのLINEだ。

何度か坂元からの誘いを断っていて、『たける』を一緒に誘うことで、挽回しようとしてるのだろうか…。

続ストーカー28

2023-03-17 09:49:53 | 日記
原田の件、思わず嘘をついてしまったことは、悪かった…と思ったが、
…子供を優先させたいと思うと、恋愛は後回しになる…。

上手くいかない…。



LINEの着信のバイブだ。

え?!すごい数のLINEの着信!!坂元からだ。

「今、どこ?」

「迎えに行こうか?」

「何で既読にならないの?」

気が重くなる文面ばかりだ…。

そして、

「ごめん。言いすぎた」

最新の文章。

坂元は心配性だ…と言っていたが、基本自由人の自分は、これこらもしょっちゅう心配掛けるだろう…そんな自分と過ごしていくと、坂元は気苦労が絶えない。自分は合わないんじゃないか…と、あらためて思った。


続ストーカー27

2023-03-13 09:43:43 | 日記
合鍵の交換に難色を示した七美の態度に坂元は不安げな表情を見せた。

「今日は帰るよ」

「あ、うん。」

「………」

坂元は立ち止まった。

「…え?何か…?」

「引き止めないの?」

「引き止める…?」

「原田と飲んでたんでしょ?それなのに、同僚と飲んだ…と嘘をついて…。『家に入っていい?』と言ったら困った顔したよね。そして、合鍵を交換しようと言ったら断られて…。僕としたら、かなりの大ダメージなんだけど…」

「ダメージ……。…ダメージなんだね…。ごめんなさい」

「……」

坂元は、何か言いたげだったが、背中を丸めて帰っていった。