浮気 12

2022-06-30 10:58:30 | 日記
田辺勇一との交際がスタートした。

笑子さんは、昔から物事に熱中するタイプで、恋愛も例外ではない。

あまり夢中になって、傷付くのがコワイ。

常になんとなく、気持ちにブレーキをかけていた。

そんな笑子さんの気持ちを知ってか知らずか、勇一さんは比較的ぐいぐいとくる。

LINEの連絡は他愛もないことも含めて毎日。

週末は必ず会った。

ブレーキをかけているつもりの笑子さんの気持ちも、どんどん勇一さんのペースに巻き込まれていった。

「今度、どこ行く?」

あれ?いつも勇一さんが言っていた言葉が、今は笑子さんが言っている。

「どこでもいいよ。」

もともと、勇一さんは、笑子さんの気持ちを最優先に考えてくれているから、いつも気持ちを聞いてくれた。

…だけど、今の「どこでもいい」という返答には、主体性の無さを感じた。

浮気 11

2022-06-29 09:33:57 | 日記
パフェを食べに行った。

他愛もない時間がとても楽しかった。

「今度は、どこへ行こうか?」

「…そうね…。」

少し戸惑うような顔をしたとたんに、田辺くんは、改めて笑子さんの手を握り、少し深呼吸をした。
「付き合おう!僕たち!」

「え?」

急な展開で、笑子さんも戸惑った。

「だめ?」

「い、いいえ!だめじゃないです」

「それじゃ、お付き合いOK?」

笑子さんは、ゆっくりうなづいた。

「ありがとう!」

いきなり田辺くんは、笑子さんを抱き締めた。

あっという間のことだった。

ーー交際を始める…って、こんな感じ…なんだ…。

悪い気はしなかったが、あっさりとした感覚だった。

浮気 10

2022-06-28 09:36:06 | 日記
田辺くんとは、さほど日にちを開けずに、会った。

田辺くんは、笑子さんのあまり面白くない話でも、身を乗り出すような感じで聞いてくれる。

こんな風な思いやりが嬉しかった。


「また、会いましょう!」

手を握って、次に会う約束をして、別れた。

このまま、彼とお付き合いをすることになるんだろう…と、思えた。


『今度は、どこに行く?』

別れて直ぐに、田辺くんからのLINEが届いた。

『○○町のカフェにとても美味しいパフェがあるらしいの。食べに行きたいなぁ…』

『OK!今週末はパフェを食べに行こう!』

退屈そうな笑子さんの提案にも、快諾してくれる。

彼の心の広さなのか、もしくは、主体性が無いのか…。

だけど、笑子さんは、満足だった。

ただ、少し気になるのは、「付き合おう」という言葉が無いこと。。。

浮気 9

2022-06-27 10:04:44 | 日記
『もっと、柴犬の話をしましょう!』

結局、笑子さんは田辺くんと会うことになった。

二人で食事をして、3時間ほどを過ごした。

思った以上に気をつかわない、気楽な時間だった。

この人とならお付き合いしてみたい。

笑子さんは、田辺くんの魅力にスイッチが入ってしまったようだった。



「先輩、田辺さんとマッチングしたんですか?」

合コンに一緒に参加した後輩のひとり、莉沙が興味津々で聞いてきた。

「ううん、マッチングなんてしてないよ」

「二人で食事したそうですよね。」

「え?どうしてそれを知ってるの?」

「先日、合コンしたメンバーは知ってますよ。その中の誰かが、二人を見たんだと思います。」

「…そうなんだ…。マッチングじゃないの。彼と犬の話しで盛り上がっちゃって…」

「それを、マッチングって言うんですよ!」

笑子さんは、ハキハキと物を言う莉沙が少し苦手だった。


浮気 8

2022-06-26 08:04:54 | 日記
合コンで少しだけ話しをした田辺くんのLINE IDを後輩からほぼ強引に送られた。

こういうの、苦手だ…。

なんて送ったらいいのか…。

『こんにちは👋😃』

え?誰?

『先日はありがとう!田辺です』

あれこれ悩んでいるうちに、田辺くんの方からLINEが来た。

『笑子さんの後輩にIDを聞きました。』

あちらにも、教えてたんだ💦💦

『こんにちは。先日はありがとうございました』

少し間があって。。。

『良かった…。返信貰えなかったらどうしようか…と、思った…。』

…きゅんとした。