君は誰?11

2024-09-30 09:53:06 | 日記
「…ッツ…」

「…キャ…」

ネコのような、何かが壁を突っつくような音が続いていた。

「二階からだと思うけど…。本当に二階に行くの?」

松田が急に不安げな声を出した。

「え?行かないの?ここまで来たのに!」

正人は強気だ。

さっきから直樹は、好奇心と恐怖が入り混ざり、何も言えないでいた。

「直樹は?どう思う?」

「うん…。ここまで来たし…。このまま帰るのは、勿体無いような…」

「だよな!」

今の直樹は、ほんの少しだけ好奇心が勝っていた。

「とりあえず、二階は、後にしよう。」

直樹は、少し時間ぎ経てば、状況も変わっていることを願った。

「次は、理科室」

「人体模型、あるのかな?」

「剥製とかあったら怖いよな…」

理科室の前に来た。

中は真っ暗。

懐中電灯をあてたが、
テーブルがひっくり返っていたり、棚が視界を塞いでいたり、人体模型も剥製も見えない。





君は誰?10

2024-09-26 09:49:18 | 日記
廊下は月あかりで、ぼんやりと輪郭は見える程度だが、その月も雲隠れしてしまうと漆黒の闇になる。

懐中電灯のあかりは、一点だけを薄ぼんやりと照らすだけなので、かえって怖い。

「もっとすごい懐中電灯を持ってくれば良かった」

「…だな。ナメてたな…。」

…ッツ…。

…ッツ…。

二階からなのか、何かを突っつくような音がする。

「さっきから、なんか音してる…」

松田が気づいてるようだ。

「なんか、引っ掻くような…」

「いや、ひきずるような音だよ。」

正人も気づいてるようだった。

「二階からだよな…」

「うん…」

「あのさ、木の枝が風で揺れて、校舎の壁を突っついたり、引っ掻いたりしてんじゃない?」

「あ、そうか…」

しかし、さっきから風など吹いていない。

…風、吹いてないよ…とは、言えなかった。

…キャ…。

「……悲鳴?」

「え?嘘!

「たぶん、動物の鳴き声じゃない?」

…キャ…。

「………そうかも…。」



君は誰?9

2024-09-22 08:29:44 | 日記
「二階から足音がする」

松田の言葉に二人は足を止めた。

『ミシッ………、…ミシッ…』

確かに…足音のようにも聞こえる…。

「家鳴りだよ。」

「うん。そうかもね」

言い出しっぺの松田も怖くなったのか、家鳴りだよ…という言葉に納得しようとしていた。

「上…行ってみる?」

「いやいや、まだメインイベントにたどり着くには早いよ」

正人が少し楽しそうだ。

「メインイベント?」

「あ、メインイベントかどうかわからないけど、いきなり"何か居そう"な場所に行く勇気が無い…って意味で…。ここへ来たばかりだから、もう少し怖いやつに慣らしてから二階に行こうよ…」

「そりゃそうだね…」

直樹は、正人の謎の論理に不思議と納得した。


君は誰?8

2024-09-17 09:10:45 | 日記
昔は、楽器の音色や生徒たちの歌声を放ち、賑やかだったろう…と思うが、今はもう、数年間も人が訪れない音楽室は、し…ん…として、かなり不気味だ。

パキパキッ…、3人の足音が室内に響く。

「とりあえず、廊下に出よう」

正人が呟く。

教室と廊下の境目の窓ガラスも割られていて、かろうじて引き戸だけは残っている。

ガリガリ…。

渋いがゆっくりと引き戸を引いた。

「え?足音?」

松田の声に二人が立ち止まった。

「何?

「上の階から足音が聞こえた…」

「え?まさか…。」

「俺たちの足音だよ。静か過ぎるから反響したんだ。」

「…そうか…。だけど、ちょっと音が違う気がして…」

「気のせいだよ」

「…そうだな。」

松田は、自分に言い聞かせるように呟いた。

君は誰?7

2024-09-13 09:29:24 | 日記
廃学校の教室の壊れた扉から入ることにした3人。

元々は施錠していたのかも知れない…。

だけど、心霊スポット化してから、何人かの…何組かの心霊スポット探索の猛者が訪れて壊して行ったのかも知れない…と思った。

「ん?音楽室?」

学校での怪現象といえば、
トイレの花子さんも有名だが、音楽室でピアノが鳴るとか、ベートーベンの肖像画が笑う…とかありそうなのに…、

いきなりの学校の怪談のメインイベントである音楽室から入ってしまった。