今宵は半月・・・
月に誘われて外灯回りで珍を狙ってみることに。
今回の目標は「キタミモンヤガ」
ヤガ科の一種で、大陸にも分布しているが、日本ではなぜか北海道の北見周辺のみに分布している。(これは不思議でならない)
北海道RDBでは希少種に指定されているが、実は産地に行けば普通に見られるらしい。なので本当は珍ではない。
でも最近探索成果が芳しくないわたしにとっては丁度いい目標かもしれない。
仕事を終え、急いで準備して現地に22時到着(旭川から約3時間)
辺りを見回して感じたのが、外灯のほとんどが虫の集まりづらいオレンジ色とLEDとなっていた。
(写真は数少ない水銀灯の外灯)
温度と湿度は高かったが、やや風が強いため、いまいち虫が集まらない。
しばらく適した外灯を探し回って時間をつぶす。
そして深夜に風は落ち着き、虫が集まり始めた。
外灯下でうろうろしてると羽アリが体中に付着して気持ち悪い。蚊も増えた・・・
オニベニシタバ Catocala dula
大型のカトカラ。
カトカラの仲間は蛾の中では美しい部類なので、人気が高くコレクション性も高い。
個人的にムラサキシタバが好き。
ケンモンキシタバ Catocala deuteronympha
車に轢かれているカトカラはほとんどこの子だったけど、運のパロメーターが低い種なんだろうか?
ヒトリガ Arctia caja
でかいし、毒々しい体色ではあるが、見ようによってはホルスタイン模様。
バタバタと羽音が聞こえると、きまってこの子が地面にひっくり返ってもがいている。
キタミモンヤガ Pseudohermonassa melancholica
ちょっと斑紋が特徴的ではあるが、地味。
前翅は黒っぽく、後翅は淡い色なので、飛翔していてもなんとなく区別できる。
はい、ミッションクリア。
住宅地にあるコンビニの灯りにもいるという陳腐っぷり。どこで発生してるんだ?
コンビニをはしごして探すと効率良いのかもしれないけど、たぶん不審者扱いで通報されるね。
今回の外灯回りでは、シロテンキヨトウ、シロモンヤガ、キタミモンヤガの順で蛾が集まっていた。
今年は暑い日がまだ続いているからかヤママユガ科が1個体も見られなかった。もう少し涼しくなってからの発生かな。
以下はおまけ
ケラ
体に比べて翅は短いのに普通に飛翔できるところがすごい。飛翔するにはバランス悪そうな体形なんだけどね。
最近見かけなくなったが、酪農地帯や田園地帯ではまだまだ健在。
小歯型のノコギリクワガタ
いきなり目の前に落ちてきて、ひっくり返ってワタワタしていた。
大歯型はなかなか見かけないが、こんなに小さな個体も珍しい。
高山帯を登山したときに見かけた蛾
ダイセツタカネエダシャク Psodos coracina daisetsuzana
蝶のように活発に飛翔する昼行性の高山蛾で、大雪山では一番よく見かける蛾のひとつ。
一見シジミチョウ科のコツバメに見えなくもない。
昼行性なのに、この地味さ。なにか少しでも明るい色の斑紋を希望。
ダイセツヤガ Xestia albuncula
かなり擦れてしまった個体でオーロラヨトウかダイセツヤガか迷い、最終的にオーロラヨトウとしたが、特徴などのご指摘を頂き、ダイセツヤガに訂正します。
ありがとうございます。
これはハマキガ科だろうか?
特徴的な斑紋あり。
全体が真っ白で繊細な蛾
キバガ科か?
ハイマツ帯でたくさん飛んでいたが、ハイマツコヒメハマキだろうか・・・
わからん。
たぶんホッキョクモンヤガの幼虫
個体数多し。おそらく成虫の発生時期になるとたくさん見られそう。
2年前からエゾコバネササキリの雄を撮影したくて産地へ毎年採集しに行っているが、時期が遅いのか雌しか得られていない。
その度に採卵して雄を得ようと試みたが、孵化する個体はほぼ雌ばかり。わずかながら雄も孵化したが成虫まで飼育できなかった。
そこで今回、飼育方法を変えてみた。
「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑 日本直翅類学会編 北海道大学出版会」に記載されていた飼育方法を参考にペットボトルで飼育容器を作成。
餌は、キュウリ・リンゴ・カツオブシ(ネコ用)
縦長ということが、脱皮などササキリの特性に有利ではないだろうか。
久々に孵化した虎の子の雄!
なぜ雄が孵化する割合が低いのだろうか?自然下でもそうなんだろうかね?
やはりこの飼育容器は飼育に適していたらしく、雌も含め問題なく成長している。
そしてついに念願の成虫まで成長させることができた。お父さんは嬉しいよ。
体色は褐色型だね。こうなると緑色型も見てみたくなる。
残りまだ孵化していない卵があるので、期待してみよう。
図鑑にある個体と比較すると若干翅が長いみたい。まだ鳴いた声を聴いていない。
あとは、やらせ写真を撮影するのみ。
これで産地まで遠征する必要がなくなったので、これからの探索にちょっと余裕ができた。
とある高山帯へ垂直移動
登山というものにそれほど興味はないのだが、探索目的として年に何回か登山している。
高山帯にはそこでしか見られない珍なるものが盛りだくさんなので、無性に好奇心がくすぐられるのである。
登山の何が嫌かというと、帰りの下りだ。ただただ疲れるだけでちっとも楽しくない。
なぜ楽しくないのか?やはり登山が目的ではないからでしょうね。
それに登山道ですれ違う人たちと会話しても、いまいち話が合わない。(探索者あるある)
でもね、頂上からの壮大な景色を見ると、登って良かったと思いますよ。下山の事を考えなければ。
今回の登山は見てみたい種を見つけられなかったため、膨大なカロリー消費で終わった。
で、以下は初見ではないが今回の登山で見かけた甲虫たち
アラメナガゴミムシ Pterostichus subrugosus
石の下に潜む高山性ゴミムシ。
ここで見られたゴミムシ類ではオコックアトキリゴミムシに次ぐ多さであったが、個体数が多いというわけではなく、むしろ少ない。
高山帯の石の下は、ほとんど何も潜んでいないスカ物件ばかり。見つかる生き物はクモとホッキョクモンヤガの幼虫くらい。
チシマオサムシ Leptocarabus kurilensis
草木が疎らな風衝地の石の下で見られるオサムシ。高山帯でこの子より大型の昆虫はいない。
生息環境から高山蛾の幼虫などを捕食しているのだろう。
ちょっと生息環境は異なるが、アイヌキンオサムシも同じ標高に生息している。しかし餌であるカタツムリを見かけたことがない。
ここではカタツムリは珍。ん?オオルリオサムシと違ってカタツムリにそれほど依存しなくてもいいのかな?
それにしても下山を楽しむ方法はないのだろうか?