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日露戦争終結から12年経った大正6年。敗戦国の大日本帝国は外交権と軍事権を失い、ロシア軍の駐屯を許していた。3月、警視庁刑事課の特務巡査・新堂裕作(しんどう ゆうさく)は連続強盗事件の容疑者を捕らえるが、身柄をロシアの日本統監府保安課に奪われてしまう。新たに女性殺害事件の捜査に投入された新堂だったが、ロシア首都での大規模な騒擾が伝えられ・・・。
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佐々木譲氏の小説「抵抗都市」は、日露戦争終結(1905年)から11年後、1916年の東京を舞台にしている。と言っても、大日本帝国が“ロシア帝国の事実上の植民地となっている世界”という“架空の設定”、詰まり“パラレル・ワールド”での話を描いている。
今回読了した「偽装同盟」は、「抵抗都市」の1年後の世界、詰まり1917年の大日本帝国を描いている。「抵抗都市」同様、“パラレル・ワールド”での世界が舞台だが、“現実社会”では「ロシア革命」が発生しており、「偽装同盟」の世界でも同じ事態が発生している様だ。
複数の殺人事件が発生するが、メインは女性の殺人事件。彼女が殺害された理由と犯人を新堂達が追って行くのだが、其の過程でロシア人の影が次々と浮かんで行く。「ロシア革命発生迄のロシア人達の焦燥感と謎の動きが、謎解きを盛り上げてくれる。」と思いきや、「盛り上がりに欠ける儘、在り来りの結末になってしまった。」という感じだ。
「抵抗都市」と比べると、全体的にすっきりした感じは在るけれど、ストーリーとしては面白みに欠ける。総合評価は星3つ。