御薦めの書籍や映画作品等の情報を書き込んで戴ける。好奇心旺盛な自分にとって、これは非常に在り難い事。「バルーン・タウンの殺人」や「『情』のリーダー論」、「もう一人の力道山」、「死者の書」等は、当ブログを覗いて下さった方々からの御推奨で読んだり観たりした作品だが、どれも印象に残る作品だった。
この程読破した「金なら返せん! 天の巻」も、先日の記事「返済に御褒美」に破壊王子様が「『金なら返せん!」は本当に名著。」とのコメントを寄せて下さった事に後押しされてだった。そもそもこの本の存在自体はかなり以前から知っており、内容に興味は在ったのだが、読まずじまいでズルズル来ていた。破壊王子様が名著と断言される以上、これは読まない訳には行かないだろうと思った訳で在る。
この本は、「日本一経済効率の悪い笑いを提供する御笑い集団」と自認する大川興行の総裁・大川豊氏が著したもの。大川興行と言えば、最近ではメンバーの江頭2:50氏の印象が強いだろうが、自分にとっては学ランを着込んだメンバー達と、「どーんと鳴った花火が綺麗だな♪」と歌いながら踊る20数年前の大川総裁の姿や、彼が明治大学を卒業する際、就職試験153社落ちの”伝説”を残した事がとても印象に残っている。
自分達の基本を「平成の一遍上人、踊り念仏で人々を幸せにする。ギャラとかテレビカメラとか、何かが在って笑いを提供するだけでは無く、『先に笑い在りき』型。」と語る彼。それ迄高給を貰っていた太田プロを平成元年に独立し、荊の道を歩み出したのも、下ライブ中心に下ネタから政治・経済のネタ迄をどうしてもやりたいという彼の強い意志が働いていた。こういった彼の一徹さは何処から来るのだろうか?と以前より思っていたのだが、彼の父親が日本一偏差値の高い学部とも言われる早稲田大学政経学部出身にも拘らず、働かなかった人物という、或る意味猛者だった事が影響しているのかもしれない。
約900万円の借金を抱えた大川総裁が、「借金を完済する迄。」と書き始めたこの返済日記。しかし借金は「奨学金疑惑」の発覚やメンバーの借金の保証人になったりで、その意に反して?増え続ける一方。この本が発行されたのは1993年となっているが、その時点での借金合計額は約1,300万円。どうして借金が膨らんでしまったかの経緯が興味深い。
何しろ13年も前の本なので、マーチン・セント・ジェームス氏や段田男氏、小峯隆生氏といった懐かしの名前が次々と登場するのは御愛嬌。茶化した文体で在りながらも、笑いというものに対する大川総裁の真面目な姿勢がチラチラ垣間見られるのも面白い所だし、社会に対する批評にも頷かされる所が少なからず在った。「この際、昔の言葉に直さないか皆。クレジット=月賦、キャッシング=高利貸し。意外な所でカード破産は防げそうな気がするだろ。」というのもその一つ。
又、当時大川興行の大ファンだった青山君(現在は御笑い芸人のホーキング青山氏。)の逸話も心に残った。青山君は先天性多発性関節拘縮症の為、生まれながらにして両手両足が不自由で電動の車椅子生活を送っているのだが、大川総裁がやっていたラジオ番組に多くの葉書を寄せてくれていたという。口にペンを挟んで一生懸命書かれた葉書には、「変態障害者の青山です。」という自己紹介が毎回書かれており、青山君曰く「自分から先に言う方が楽しいんです。自分から言った方が、周りの人が気を使わないで済むんです。」と。だから大川総裁も彼の事を「ホーキング青山」と呼ぶ事にした。笑いには笑いで返すのが一番だと思ったからだと。
そしてエイズに関しても次の様に触れている。
*****************************
皆エイズ患者に対して差別、偏見を無くそうと言うが、エイズ患者自身の精神の解放が無い。確かにエイズだけは死に到る為、自分からは言い辛い。でも、マジック・ジョンソンがオリンピックに出場すると言ってオーストラリア選手が抗議した様に多少の差別は在ったが、あのプレイを見ているとほんと楽しんでやっている。日本の場合深刻に考えるけど、何か暗い方向にしか行かない。家田荘子の「私を抱いてそしてキスして」を読むと事実が判るが、患者自身は具体的にどう前向きに生きるか、が少ない。やっぱり精神的に追い込まれる病気で在るのだから、最後は自分から勇気を持ってネタにする位の方が助かる筈だ。
家族に言えない、彼女に言えない。でも黙っていると人間追い込まれるから、エイズ先進国のアメリカの様に看護婦に自分の血液の注射を打ったり、娘に噛み付いて迄移そうとしてしまう。マジック・ジョンソンみたいなスーパー・スターは精神的に強いし、スターだけに皆に助けて貰えると思う。だが一般の人達はどうか。そんなに精神的に強く無いだろうし、やっぱり陰で差別されるだろうし、助ける人も少ないと思う。笑いで自己解放する方が絶対に強くなると私は信じている。
だから「私、実はエイズになっちゃったの。」「・・・。」と返す言葉が無いよりも、「よし、今日からキャリア・ウーマンか。残りの人生思い切って生きるか。」の方が良い。人間怪我をした時、一緒に心配されると本当に駄目かと思ってしまうが、そんな時こそギャグを言うと救われる時が在る。エイズに関しては特効薬が無い今は、共存して行く方法を考えて行くしかない。エイズ撲滅とか叫ぶのと同時に、もっと気楽に接していける状況が必要ではないか。
*****************************
ギャグの内容は別にして、「笑いで自己解放し、その事で強くなれる。」というのは一理在る様に思う。又、腫れ物に触れるが如く遠巻きで居ながらも、裏では陰湿に差別するより、気楽に接していける環境を作る事の方が、余程患者と真摯に向き合っている様にも感じる。
この本を単なる奇書と捉えるか、はたまた名著と捉えるか、それは人それぞれだろう。自分の場合、続編を読みたいという気持ちが抑えられないでいる。
この程読破した「金なら返せん! 天の巻」も、先日の記事「返済に御褒美」に破壊王子様が「『金なら返せん!」は本当に名著。」とのコメントを寄せて下さった事に後押しされてだった。そもそもこの本の存在自体はかなり以前から知っており、内容に興味は在ったのだが、読まずじまいでズルズル来ていた。破壊王子様が名著と断言される以上、これは読まない訳には行かないだろうと思った訳で在る。
この本は、「日本一経済効率の悪い笑いを提供する御笑い集団」と自認する大川興行の総裁・大川豊氏が著したもの。大川興行と言えば、最近ではメンバーの江頭2:50氏の印象が強いだろうが、自分にとっては学ランを着込んだメンバー達と、「どーんと鳴った花火が綺麗だな♪」と歌いながら踊る20数年前の大川総裁の姿や、彼が明治大学を卒業する際、就職試験153社落ちの”伝説”を残した事がとても印象に残っている。
自分達の基本を「平成の一遍上人、踊り念仏で人々を幸せにする。ギャラとかテレビカメラとか、何かが在って笑いを提供するだけでは無く、『先に笑い在りき』型。」と語る彼。それ迄高給を貰っていた太田プロを平成元年に独立し、荊の道を歩み出したのも、下ライブ中心に下ネタから政治・経済のネタ迄をどうしてもやりたいという彼の強い意志が働いていた。こういった彼の一徹さは何処から来るのだろうか?と以前より思っていたのだが、彼の父親が日本一偏差値の高い学部とも言われる早稲田大学政経学部出身にも拘らず、働かなかった人物という、或る意味猛者だった事が影響しているのかもしれない。
約900万円の借金を抱えた大川総裁が、「借金を完済する迄。」と書き始めたこの返済日記。しかし借金は「奨学金疑惑」の発覚やメンバーの借金の保証人になったりで、その意に反して?増え続ける一方。この本が発行されたのは1993年となっているが、その時点での借金合計額は約1,300万円。どうして借金が膨らんでしまったかの経緯が興味深い。
何しろ13年も前の本なので、マーチン・セント・ジェームス氏や段田男氏、小峯隆生氏といった懐かしの名前が次々と登場するのは御愛嬌。茶化した文体で在りながらも、笑いというものに対する大川総裁の真面目な姿勢がチラチラ垣間見られるのも面白い所だし、社会に対する批評にも頷かされる所が少なからず在った。「この際、昔の言葉に直さないか皆。クレジット=月賦、キャッシング=高利貸し。意外な所でカード破産は防げそうな気がするだろ。」というのもその一つ。
又、当時大川興行の大ファンだった青山君(現在は御笑い芸人のホーキング青山氏。)の逸話も心に残った。青山君は先天性多発性関節拘縮症の為、生まれながらにして両手両足が不自由で電動の車椅子生活を送っているのだが、大川総裁がやっていたラジオ番組に多くの葉書を寄せてくれていたという。口にペンを挟んで一生懸命書かれた葉書には、「変態障害者の青山です。」という自己紹介が毎回書かれており、青山君曰く「自分から先に言う方が楽しいんです。自分から言った方が、周りの人が気を使わないで済むんです。」と。だから大川総裁も彼の事を「ホーキング青山」と呼ぶ事にした。笑いには笑いで返すのが一番だと思ったからだと。
そしてエイズに関しても次の様に触れている。
*****************************
皆エイズ患者に対して差別、偏見を無くそうと言うが、エイズ患者自身の精神の解放が無い。確かにエイズだけは死に到る為、自分からは言い辛い。でも、マジック・ジョンソンがオリンピックに出場すると言ってオーストラリア選手が抗議した様に多少の差別は在ったが、あのプレイを見ているとほんと楽しんでやっている。日本の場合深刻に考えるけど、何か暗い方向にしか行かない。家田荘子の「私を抱いてそしてキスして」を読むと事実が判るが、患者自身は具体的にどう前向きに生きるか、が少ない。やっぱり精神的に追い込まれる病気で在るのだから、最後は自分から勇気を持ってネタにする位の方が助かる筈だ。
家族に言えない、彼女に言えない。でも黙っていると人間追い込まれるから、エイズ先進国のアメリカの様に看護婦に自分の血液の注射を打ったり、娘に噛み付いて迄移そうとしてしまう。マジック・ジョンソンみたいなスーパー・スターは精神的に強いし、スターだけに皆に助けて貰えると思う。だが一般の人達はどうか。そんなに精神的に強く無いだろうし、やっぱり陰で差別されるだろうし、助ける人も少ないと思う。笑いで自己解放する方が絶対に強くなると私は信じている。
だから「私、実はエイズになっちゃったの。」「・・・。」と返す言葉が無いよりも、「よし、今日からキャリア・ウーマンか。残りの人生思い切って生きるか。」の方が良い。人間怪我をした時、一緒に心配されると本当に駄目かと思ってしまうが、そんな時こそギャグを言うと救われる時が在る。エイズに関しては特効薬が無い今は、共存して行く方法を考えて行くしかない。エイズ撲滅とか叫ぶのと同時に、もっと気楽に接していける状況が必要ではないか。
*****************************
ギャグの内容は別にして、「笑いで自己解放し、その事で強くなれる。」というのは一理在る様に思う。又、腫れ物に触れるが如く遠巻きで居ながらも、裏では陰湿に差別するより、気楽に接していける環境を作る事の方が、余程患者と真摯に向き合っている様にも感じる。
この本を単なる奇書と捉えるか、はたまた名著と捉えるか、それは人それぞれだろう。自分の場合、続編を読みたいという気持ちが抑えられないでいる。
大川興業をテレビの公開録画などで何回か見ても(これが腹がよじれるほど面白かったのですが)、いざ放送になるとオープニングとエンディングに、出演者勢ぞろいの場面でしか見られませんでした(苦笑)