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「裁判員裁判 長期化の一途」(8月20日付け東京新聞[朝刊])
裁判員裁判の初公判から判決迄に掛かる日数「実審理期間」が、昨年1年間は平均「17.5日」となり、制度初年だった2009年の「3.7日」と比べて5倍近く迄伸びた事が、最高裁の纏めで判った。裁判員や補充裁判員が裁判官と共に判決内容を話し合う非公開の「評議」に掛かる時間は昨年平均が「894分」で、2009年の「397分」から2倍超となった。
一方、事件毎に公開の法廷が開かれる回数は昨年平均が「5.4回」で、2009年の「3.3回」から微増。実審理期間の伸びは、裁判員等の負担を考慮して、審理日程の余裕を確保し、評議に時間を使う様にした影響と見られる。
唯、此処数年は裁判員候補者に選ばれて辞退した人の割合が7割近くで高止まりしており、審理日程の長期化に伴って、仕事や家庭の事情等を抱える多くの人が裁判員裁判に参加し難くなっている面も在りそうだ。
実審理期間は、法廷が開かれない日や休日も含む。昨年は738人の被告が裁判員裁判で判決を受け、内実審理期間が「11日~20日」だったのが最多で264人。「6日~10日」が233人と続いた。40日を超えたケースも53人居た。評議の時間は、「840分超」が311人で最多だった。
審理日程の組み方に関し、昨年1年間、各裁判所が裁判員経験者を対象に実施したアンケートで、「裁判所に来る日数を少なくした方が良かった。」の15.1%は「多くした方が良かった。」の11.9%を上回ったが、最多は「何方とも言えない。」の71.7%だった。
裁判員候補者に選ばれ乍ら仕事等を理由に辞退した人の割合は2009年に53.1%だったが、2017年以降は66%~67%台で推移。昨年は67.4%で、過去最高だった。
市民団体「裁判員ネット」の代表を務める大城聡弁護士は、「裁判員裁判は重大な刑事事件を扱う上、市民の考えを取り入れる為には評議を充実させる必要が在り、実審理期間が或る程度長くなるのは仕方無い。」と指摘。一方で、「余りに長くなると、日常生活にも影響して来る。仕事や介護、育児等の事情を抱える人達を、社会全体で支える仕組み作りが、今以上に必要だ。」としている。
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2009年5月にスタートした「裁判員制度」は、「原則18歳以上の有権者から、籤で選ばれた裁判員6人が裁判官3人と合議で審理に当たる制度。」で、施行から今年の5月末迄に8万8,784人が裁判員、そして3万183人が「欠員が出た場合の補充裁判員」を務めたそうだ。2009年以降、其の年によって有権者数は変動しているので、飽く迄も参考数字となってしまうが、2019年時点の我が国の有権者総数は101,236,029人という事なので、有権者の約0.11%が裁判員乃至は補充裁判員を務めた計算になる。
裁判員制度が始まった頃、「裁判員に選ばれた場合、“原則として”辞退は出来ない。」と言われていた。勿論、例外は在り、此方に記されている様な理由が在る場合は「辞退も止む無し。」との事。
大学時代、法学部に在籍していた事も在り、「裁判員に選ばれたら、喜んで参加したい。」と思っていた。其の気持ちが大きく変わった訳では無いけれど、「裁判員裁判は長期化の一途。」という今回の現実に加え、此方に記されている「制度に関して指摘されている問題点」、特に「一審の判決の破棄の増加」、即ち「裁判員が下した判決が、高裁で覆るケースが多発している。」というのが、裁判員として参加する意欲を減じさせている。裁判員として真剣に考え、そして悩んだ末に導き出した思いが、高裁であっさりと覆されてしまうのでは、何の為に裁判員として取り組んだのか虚しくなってしまうので。