*********************************
「チンパンジーも蟹好き 類人猿で初確認、京大」(5月30日、日本経済新聞)
西アフリカ・ギニアの野生のチンパンジーが、小型の蟹を日常的に食べている事が判ったと、京都大の松沢哲郎特別教授(比較認知科学)等の国際チームが29日、国際学術誌電子版に発表した。
チームによると、霊長類での蟹の採食は、水辺に棲む蟹食猿等で知られていたが、人に最も近縁のチンパンジーやゴリラ等の類人猿で確認されたのは初めて。
初期の人類は森林からサバンナ(草原)へ進出した後、魚や蟹を食べ始め、深い森で暮らす類人猿は水生動物を食べないとされていた。松沢教授は「400万年以上前、森で暮らしていた初期人類の猿人も既に水生動物を食べていた可能性が在る。人類が水生動物を何時、何の様にして食べる様になったのかを解明する手掛かりになる。」としている。
日米英スイスのチームは2012~2014年、ギニアの山中の森で生活するチンパンジーの群れを観察対象として、沢蟹が生息する水溜まり付近等にカメラを設置。蟹を捕まえて食べる行動を、計181回確認した。
雄よりも子連れの雌に多く見られ、雄が狩猟をして栗鼠等の肉を食べる一方、そうした機会に恵まれない雌は、蟹を食べ栄養源にしていると推察されると言う。
1年を通して食べていたが、常食にしている蟻を食べない時期に蟹を良く食べていた。分析の結果、両者の栄養構成が近い事が判った。
*********************************
今回のニュースで驚いたのは、「チンパンジーやゴリラ等の類人猿が、蟹を食べている姿を初めて確認された。」という点。以前、ドキュメンタリー番組でチンパンジーの生活を追っていたのだが、其の中で彼等が“共食い”している場面が在り、非常にショックだった。と言うのも、「食べる目的以外で、生き物を殺すのは人類だけ。」と思っていたので。
以降、「チンパンジーも、食べる目的以外で生き物を殺す。」という事以外に、「チンパンジーは植物だけでは無く、何でも食べる雑食。」という意識が在り、蟹の採食というのも、例外では無いと考えていた。
「人類が水生動物を何時、何の様にして食べる様になったのかを解明する手掛かりになる。」と元記事に記されているが、研究を続けて行く中で、人類の“来し方”がより明らかになって行く事だろう。