5月28日付け日刊ゲンダイの「ギョーカイ㊙雑記帳」に、「倒産急増 淘汰が進む芸能プロの未来」という記事が載っていた。帝国データバンクが発表したリポートで、「2023年に日本で倒産した芸能プロダクションの数は合計12件で、前年の3倍、過去5年間で最多になった。」事が明らかとなり、其れが芸能界関係者をざわつかせていると言う。
近年はTV局の制作費削減に伴う出演料の減少や番組の整理・終了といった状況に直面した他、SNS台頭でYouTuberやインフルエンサーとして活動する個人も増え、芸能プロダクションが従来得意として来た新人タレントの発掘等も難しくなっている。こうした逆風の中で、所属タレントの独立、創業者の死去・体調不良といった社内事情が加わり、倒産や廃業に到る芸能プロダクションが目立っている。」そうだ。
「芸能プロダクションは、ファン・クラブの運営や出演番組の交渉等、多忙なタレントの活動をサポート&マネージメントする役割に加え、トラブル対応等の役目も在り、其の存在意義は大きい。『事務所に所属するメリットを、タレントにどうアピール出来るか?』が、芸能プロダクション各社の手腕が問われている。」とも。
「コロナ禍やインターネットの台頭。→TV局のCM収入激減。→TV局の制作費が大幅に削減。→制作会社や芸能プロダクションの倒産。」という流れ&連鎖。
「業界では名の通った芸能プロダクションで在っても、企画力も無く、出演料をピン撥ねするだけの様な芸能プロダクションは淘汰されて行く過渡期でしょう。過去の実績と名前で仕事の取れる大御所タレントに、新人マネージャーを付けたりして揉めるケースも良く聞きます。所属させているだけで何の営業もせず、飼い殺し状態に不満を持つタレントは多い。」と、元記事では記されている。
芸能プロダクションの倒産が急増している一方で、所属していた芸能プロダクションを離れるタレントも増えている様だ。彼等は大概、自身で新しい芸能プロダクションを作り、其処に所属するという形を取っている。「ジャニ―喜多川による性加害問題」で、「ジャニーズ事務所」は“実質的に”「STARTO ENTERTAINMENT」へと変わったが、STARTO ENTERTAINMENTから次々と所属タレントが離れて行っている。又、「松竹芸能」も、所属タレントの岡田圭右氏、そして別事務所に所属はしているが、籍は同事務所に残している笑福亭鶴瓶氏によると、所属タレントが次々と離れ、やばい状態に成っているとか。他の芸能プロダクションでも、似たり寄ったりの状況の様だ。
「所属タレントが、次々と芸能プロダクションを離れている要因。」は、ざっくり言うと「芸能プロダクションによる所属タレントの守護、そして事務所を離れたタレントを芸能界から“干す”機能が効かなくなっている。」事だろう。
どういう事かと言えば、「嘗ての芸能プロダクションは、所属タレントの仕切りに関して“唯一の窓口”で在った為、所属タレントの不祥事が発生しても、“強大な影響力”を駆使してマス・メディアを黙らせ、所属タレントを守護して来た。其の一方で、所属タレントが事務所を離れると、他の事務所と連携し、離れたタレントを芸能界から完全に“干す”というのが定番だった。」が、「インターネットの普及により、タレント自身がSNS等で“外部”に情報を発信出来る様になったし、『2019年7月、ジャニーズ事務所がTV局に対し、新しい地図の3人を出演させない様に圧力を掛けた疑いが在るとして、公正取引委員会が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反の恐れが在ったと、ジャニーズ事務所に注意処分を下した。」事から、事務所を離れたタレントを芸能界から完全に干す事が出来なくなった。」のが大きい。
「芸能プロダクションによる所属タレントの守護、そして事務所を離れたタレントを芸能界から干す機能が効かなくなっている。」のだから、今後も所属事務所を離れるタレントは増加するだろうし、延いては其の事で倒産する芸能プロダクションも増えるに違い無い。