ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「外科医、島へ ~泣くな研修医6~」

2024年06月09日 | 書籍関連

**************************************************************
半年の任期離島診療所派遣された、31歳の外科医雨野隆治(あめの りゅうじ)。島ではあらゆる病気を診なければならず、自分の未熟さを思い知る束の間の息抜きを楽しんだ夏祭りの夜に、駐在所警官から電話が。其れは、「竹藪で見付かった身元不明の死体を検死して欲しい。」という依頼だった。
**************************************************************

「1980年生まれの現役外科医で、37歳の年に病院長にもなった。」という経歴を持つ中山祐次郎氏は、“医師で在り作家でも在るという異能の人”で在る、そんな彼には「泣くな研修医シリーズ」という人気作品が在り、今回読んだ「外科医、島へ ~泣くな研修医6~」は、其の第6弾に当たる

31歳の外科医では在るが、「未だ未だ修行中の身。」と思っている雨野隆治に、「半年間の任期で、東京の離島で働いてみないか?」との打診がされる。「現状とは異なった環境で働くのも、医師としてのスキル・アップ繋がるかも知れない。」と考えた隆治は、高齢者溢れ返る神仙島”行きを決断。

人手が足りない。」、「最低限の医療機器しか無い。」、「大掛かりな手術は島内で出来ないので、ヘリコプターで長時間掛けて本土”の病院に運び、対応して貰うしか無い。」、「台風等の自然災害に見舞われると、必要な医療物資が手に入らなくなる。」等々、僻地医療が“無い無い尽くし”の環境で行われているのは知っていたが、改めて其の環境の過酷さを思い知らされた。基本的には「どんな病気の患者にも、自分1人で対応せざるをない。最低限の医療機器しか無い中、重い決断も1人で下さなければならない。」というのは、本当に大変な事だと思う。

**************************************************************
人工透析医療行為処置)の1つで、腎臓の機能を人工的に代替する事。
腎不全患った患者が尿毒症になるのを防止するには、外的な手段で血液の「老廃物除去」、「電解質維持」、「水分量維持」を行う必要が在る。
**************************************************************

腎臓の役割は、ざっくり言ってしまうと体内の“毒素”を、体外に排出する事。と言って良いだろう。腎臓の機能が低下し、毒素の体外排出が困難となれば、其の儘では死を迎える事になってしまう。そんな患者の、人工透析が行われる訳だが、原則として、1日置きに人工透析を行う必要が在る。“新たな血管”を作り其処から“新鮮な血液”を循環させるのだが、毎回ベッドに3時間程度横たわっでいなければならない。という事実を以前知って、「ずっとこんな事を続けなければならないなんて・・・人工透析を受ける患者って気の毒だなあ。」と思った物。

で、今回の作品に人工透析を受けている患者が登場するのだけれど、透析患者は、厳しく水分制限をされる。大体、1日に500ミリリットル位が上限透析をしている時は、塩分も厳しく制限される。1日6程度しか、口から摂ってはいけないだ。透析患者は、急に心停止する事が少なく無い。長年透析をする患者の最期は、そういう急なイヴェントの事が多いのだ。長期に亘って透析を受けていると、脆く成り勝ちという事実を新たに知り、気の毒さを感じる気持ちは更に強まった。

個人的には、「“殺人事件”を盛り込まなかった方が、話がスッキリして良かったのではないかなあ。」という思いが在る。僻地医療の過酷さと、そういう現場で懊悩する医療従事者の姿、そして隆治の淡い恋という“3本立て”で、充分に読ませる内容だから。多くを詰め込み過ぎて、纏まりが無くなってしまった。

総合評価は、星3.5個とする。


コメント    この記事についてブログを書く
« 揺らぐ日本の芸能プロダクション | トップ | 一足制 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。