ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

虫嫌い

2025年01月31日 | 動物関連

友達と野外缶蹴りをしたり、野山や川で遊び捲っていた幼少期甲虫蜻蛉といった昆虫を、普通に触っていた。然し、幾つ位からだったろうか、昆虫を触るのが苦手に成った。

AERA(1月2日号)に載っている記事「先ず大人から虫嫌いの緩和を」を読むと、現代人には"虫嫌い"が多いらしい。此の記事を書いた方自身も、次の文章を記している。

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何を隠そう筆者自身、「何故、こう成ったのか?」と思う程、虫との距離感がおかしく成っている一人だ。

郊外で育った子供の頃は、通学途中に飛蝗蟷螂、蜻蛉を素手捕獲する事も珍しく無かった。近所の雑木林に出掛け、甲虫や鍬形を捕獲した時は野球帽の中に収容していた。頭の上でムズムズ動く甲虫類の感触は今も在り在りと思い出せる。

だが、都内で暮らす今は・・・。甲虫を中に入れた帽子を被るなんて絶対無理。そう断言出来る程虫との接触、遭遇ですら「異常事態」と認知する様に成ってしまった。

飼いがマンションのベランダで捕まえた黄金虫咥えて部屋に戻って来る事が年数回在る。其の都度、仕事も睡眠も食事も中断して、一刻も早く対処する事に全神経注ぐ。蠅一匹入って来ても、「どう遣って部屋の外に逃がそうか。」という問題意識で一杯に成る。
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此の感じ、自分には凄く理解出来る。

進化生物学者で、日本芸術文化振興会理事長の長谷川眞理子さんが執筆した<激変する日本人の暮らし「自然と一体」失う貧しさ>という見出しエッセー(2024年11月10日付け毎日新聞)の一部抜粋が、記事の中で紹介されている。

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先日、電車の中に蜉蝣の様な昆虫が入って来た時には、乗客達はパニック陥った。其の数年前、バスの中にが入って来た時も同じで、私が其れをパッと手で掴んで窓の外に出して遣ると、他の乗客達は皆、私が魔法使いででも在るかの様に不審な目で見ていた
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又、多摩動物公園の「昆虫館」の前を訪れた際のエピソードも。

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事情が在って多摩動物公園の昆虫館の前で人と待ち合わせる事にした。少し早く着いたので、館の前に立って道行く人々を観察していた。すると、殆どの人は『あら気持ち悪い、昆虫だって!』という様な事を言って通り過ぎて行く。虫に興味が在りそうな人は殆どない。此れが、態々多摩動物公園に来た人々なのだ。
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此の一件、最近の事では無い。何と、30年も前の事だとか。詰まり虫との距離感がおかしく成った人は、最近に成って増えた訳では無い。という事。

長谷川さんは、恐らく高度経済成長期の1960年代から、其の後の1980年代位迄が、日本人の自然との向き合い方が変わる分かれ道だったと思います。経済成長の、自然との関係を壊しても、開発すれば良いんだ、と思い込んで来た。其の悪い面が今、どんどん出ていると思います。と語っている。

千葉大学大学院園芸学研究院深野祐也准教授(発表当時は、東京大学助教。)等が2021年、或る研究結果を発表した。現代人に虫嫌いが多い原因を、進化心理学に基づいて検証した物だ。深野准教授は、虫に向けられる否定的な感情の多くは、恐怖では無く、"嫌悪"です。進化観点から見ると、嫌悪という感情の主な役割は、病原体回避の為の心理的適応です。としている。

人間には病原体に感染しない様、回避する感情・認知・行動的反応が在り、此れを「行動免疫システム」と呼び、其の中心と成る感情が「嫌悪」なのだと。虫嫌いは嫌悪を中心とした行動免疫システムの影響を強く受けていると考えた深野准教授等は、「20~79歳の1万3千人を対象に、『ゴキブリ蜘蛛、蜻蛉、天道虫等、13種の虫が屋外・室内に居る写真を其れ其れ提示して、の感情の強さを評価する。』という実験&アンケート調査を行った所、『都市部に暮らしている人程、虫への強い嫌悪感を持つ傾向。』が在り、又、『同じ虫の画像でも、室内を背景にした画像を提示された回答者の方が、屋外を背景にした画像を提示された回答者よりも、強い嫌悪感を持つ。』。事が判明

此の結果は、『虫への嫌悪感は、自身の感染リスク応じて変化する。』と予測する病原体嫌悪理論と一致します。虫嫌いの人は、虫の事を知ろうとしない為、『虫嫌い→知識喪失→虫嫌い→・・・』の自己強化型のフィードバック・ループ生じている可能性が在ります。と深野准教授は語った上で、「大人に成ると虫が苦手に成る。」理由に付いても、行動免疫システムで説明出来る部分が在ると、次の様に説明。

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行動免疫システムでは、自分の経験だけで無く、他者の嫌悪表現を観察する事で、対象物に対する嫌悪感を素早く学習します。乳幼児成人に比べて嫌悪を感じる対象が少ないですが、成長するに連れて、幅広い対象に対して嫌悪感を抱く様に成り、其れは両親や周囲の人々から学習すると考えられています。
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そして、虫嫌いの緩和策として「野外若しくは野外を感じさせる条件で、虫を見る機会を増やす。」、「虫の知識を増やして、種類を区別出来る様にする。」という2点を、深野准教授は提唱しているそうだ。


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2 コメント

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Unknown (悠々遊)
2025-02-01 15:52:03
こんにちは
虫嫌いにはそんな理由があるのですか。
私は虫に抵抗が無い方で、川釣りの餌となるカゲロウなども平気で触れますが、子供のころから苦手だったのが蜘蛛とムカデなどの多足類。
幼少のころ『世紀の怪物/タランチュラの襲撃』という映画を見たのがトラウマになったのか、蜘蛛と言えばすべて毒蜘蛛のように思え、触ることはおろか近づくこともできませんでした。
大人になって蜘蛛への抵抗感は減少していますが、やはり大型の蜘蛛は苦手だし、多足類は今でもダメ。
同じように足がたくさんあってもエビやシャコは好物なのに。
ゴキブリも見掛けたら反射的に叩いてしまいますが、姿が似ている海岸の岸壁や岩場などにいるフナムシは平気で捕まえます(これも釣りの餌になる)。
勝手なものですね(苦笑)。
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>悠々遊様 (giants-55)
2025-02-01 20:12:07
書き込み有難う御座いました。今回は、此方にレスを付けさせて貰います。

本当かどうかは判りませんが、大昔読んだ(心理学系?)の本に「蜘蛛と蛇で言うと、人は大概"蜘蛛嫌い派"と"蛇嫌い派"に二分され、両方が嫌いという人は余り存在しない。」と記されていました。自分の場合、何方も苦手(子供の頃は蜘蛛は触れましたけれど、大人に成った今は駄目。)なので、極めて少数派に属するのでしょうね。

蜘蛛と言えば自分の場合、「ウルトラQ」に登場する巨大蜘蛛の、彼のウネウネと動く様が実に不気味で、今でも忘れられません。

子供の頃、家族で釣りに良く行き、普通に餌としてゴカイ(沙蚕)を針に付けていましたが、今では無理かも・・・。
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