「ブラック・ウォー」とは、「今のタスマニアで1800年代前半に起こった、イギリス植民者とタスマニアン・アボリジニーとの争い。」を意味する。未接触部族だった彼等は、イギリス植民者によって小島に移住させられ、1876年には最後の1人が死去し、タスマニアン・アボリジニーは絶滅した。
植民者がテリトリーに入って来た事で、絶滅する事にはならなくても、大きな被害を受ける事になった未接触部族は少なく無い。移民者に悪意が無くても、彼等が持ち込んだ病気により、免疫の無い未接触部族の多くが感染&死亡するという事も、過去には在った。未接触部族が色んな理由から、テリトリーに入ろうとする者達を恐れるのは判らないでも無い。
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「インドの孤立部族、米国人宣教師を殺害か 北センチネル島」(11月22日、CNN.co.jp)
インド東部アンダマン・ニコバル諸島の警察は22日迄に、「同諸島の北センチネル島を訪れていた米国人宣教師が、地元部族に殺害されたと見られる。」と明らかにした。
北センチネル島はインド本土の数百km沖合に在り、住民は世界で最も孤立した部族の1つとなっている。
地元警察幹部がCNNに明かした所によると、殺害された男性はジョン・アレン・チャウさん(27歳)で、インドには観光ヴィザで訪れていた。然し、10月にアンダマン・ニコバル諸島に来た際は、明らかに布教目的だったと言い、「彼の事を、観光客とは呼びたくない。」としている。
チャウさんから警察に対し、住民の改宗を目的とした渡航だとの報告は無かった。
同島にはインドの法律で保護対象の「センチネル族」が住む。公式記録では、住民は十数人に過ぎないとされる。
島は保護区域となっており、5海里(約9km)以内への進入は禁止されている。以前に外部の人間への攻撃的な行動が2件確認された事を受けた措置で、2006年には地元漁師2人が部族に殺害されていた。
警察によれば、米国人宣教師は現地の友人に頼んでボートを手配して貰い、島への上陸を助ける漁師も見付けていた。訪問を手助けした7人の現地住民は、全員逮捕されている。
警察はチャウさんが死亡した事を独自に確認していないが、漁師達の話を元に、殺害されたと見ている。
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殺されたとされる男性に悪意は無く、布教する事が目的だったのだとは思う。でも、未接触部族で在るセンチネル族はセンチネル語を話すが、島の外部で其れをきちんと理解出来る者は居ないと言う。唯でさえ“余所者”を恐れているで在ろう彼等のテリトリー内に、全くコミュニケーションを取れない者がずかずかと入り込んで来たら、最悪の事態が起こる可能性は低く無いだろう。(仮にコミュニケーションが取れたとしても、彼等には古くから信じる“宗教”が存在した場合、改宗を迫られると大きなトラブルに発展する可能性も。)
殺人行為で在る事には変わり無いけれど、センチネル族の恐れる気持ちも理解出来るだけに、複雑な思いの湧くニュースだ。