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ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「金融探偵」

2013年06月25日 | 書籍関連

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東京産業銀行で与信判断メインに行って来た大原次郎(おおはら じろう)。しかしリストラ遭い、31歳の今は失業中の身。独身で、ローン抱えている訳でも無いから、新しい職に高望みをしていないのだが、不況の波は深刻で、就職先が全く決まらない。

 

或る日、再就職活動中に金融絡み難題に付いて、相談を受けた次郎。此れの経験と知識を生かし、“金融探偵”として怪事件を鮮やかに解決して行く。

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金融探偵」というタイトルが面白くて、つい手に取ってしまった。著者が元銀行員の池井戸潤氏と判り、此の一風変わったタイトル付けに納得。

 

7つの短編小説から構成されているのだが、「金融」という単語が冠されている割には、“金融に関する記述”はそんなに多く無い様に感じた。又、他の池井戸作品に比べると、登場人物達の“キャラ立ち度”が低く感じられたのも残念だった。

 

文豪島崎藤村氏と或る日本画家との関係を描いた「誰のノート?」及び「藤村の家計簿」は時空を超えたミステリアスさが在って興味深かったが、一番印象に残った作品は「眼」。手塚治虫氏の代表作の1つ「ブラック・ジャック」に「春一番」という作品が在り、其れと非常に似たテーストだったから。最後の最後に待ち受けている大どんでん返しは予想外で、後味の悪さは残るものの、読ませる内容だった。

 

全体的には“小粒感”が否めず、池井戸作品としては物足りなさを感じた。

 

総合評価は、星3つ


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2 コメント

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Unknown (マヌケ)
2013-06-25 12:43:52
たくさん仕事をかかえると、中には途中から筆の乗らない作品というのもあるのかもしれませんね。 東野圭吾さんの作品でも肩すかしにあったように感じる作品もあったような気がしますし、描き下ろしで編集者がまったく口をはさまなかった作品がとてもよいものに出来上がったり、その逆なんかもあるような気がします。 連載小説をまとめたものなどは時間がたっているので加筆したり、現実の出来事とたまたま重なって、関係者に影響がでたりすることから、修正したりすることもあるみたいですが、それが場合によっては不本意な形になってしまうこともあるのではないでしょうか。 あと、スランプとかもあるでしょうね。 弊社は本日株主総会でした。 26分という短時間で異議なしのシャンシャン総会でした。 本業の業績はとてもよいとは言えず、業界で下から2番目なのに、株高で持ち株の含み益がとても大きく、特別利益で好決算という、表面的なアベノミクスによるものでした。 これから先がどうなることやらです。 おそらく、金融ものの小説は今後、アベノミクスの泣き笑いを題材にした作品が多く登場するのではないでしょうか。 次の作品に期待しましょう。
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>マヌケ様 (giants-55)
2013-06-25 13:56:08
書き込み有難う御座いました。

昔は作家という職業に憧れた時期も在り、小説擬きを書いた事も在りますが、自分で読み返してみても顔が赤くなる程、非常に稚拙な内容でした。其れを考えると、著作を生業にするというのは、本当に大変な事。自分では「良い出来。」と思っても、多くの読者の心を掴み、売れなければ駄目なのですから。

ヒット作を生み出しても、以降、コンスタントに一定レヴェルの作品を書き続けて行けるというのは、天賦の才以外に途轍も無い労力を要する事でしょうね。東野圭吾氏や池井戸潤氏等は、高いレヴェルの作品をコンスタントに生み出している範疇の作家では在りますが、其れでもマヌケ様が指摘されている様に、時には「嘘だろ・・・。」と感じてしまう残念な出来の物も在る。「超人と思っていたけれど、必ずしもそうじゃなかったんだな。」と、“良い意味で”人間らしさを感じたりもします。

「賢者は誰でも判る様に優しい言葉で説明する事に気を配り、自身の手柄を誇る事もしない。しかし愚者は意識して難解な言葉を用いて自身を大きく見せようとしたり、何でも彼んでも自身の手柄として誇ろうとする。」、そんな言葉を吐いた人が居ましたけれど、「アベノミクスだ何だと態々難解な言葉を用いて“実態”を誤魔化し、何でも彼んでも『アベノミクスの成果です!』と誇る何処ぞの幼稚な“裸の王様”の姿を見ていると、「此の国は、本当に大丈夫かな?」と寒々しい思いになってしまいます。
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