街中で矢鱈と見掛ける中古車販売会社の「BIG MOTOR(ビッグモーター)」。佐藤隆太氏が出演し、「車を売るなら BIG MOTOR♪」のCM【動画】でも御馴染みだろう。車の買取&販売のみならず、車検や修理、板金塗装、損害保険、リース等、車に関する事を全て自社で100%対応するという所謂「ワンストップ・ショッピング型」の店舗を展開し、急拡大して来た会社だ。
だが、車に詳しい知人達からは以前より、芳しく無い話を聞く機会が結構在った。「車検を頼んだら、余りにも段取りが悪く、尋常では無い時間を費やす事になってしまった。又、修理費用に不明朗な点が多く、説明を求めても、真面な回答が得られなかった。」なんていうのは未だ増しな方で、「車体凹みを修理して貰おうと車を持って行ったら、“点検後”に凹みが酷くなっていて、馬鹿高い修理費用の見積もりを提示された。」とか、「他の部分の点検をして貰ったら、『タイヤがパンクしています。』と言われた。買ってから日が経っておらず、どう考えてもおかしかった。」なんて話も少なからず聞いたが、店員に「おかしい。」と文句を言うも、「当方に問題が在るとでも言うんですか?だったら、証拠を見せて下さい。」といった感じでけんもほろろな対応に終始された挙句、馬鹿高い費用で修理して貰ったというのが、知人達の結末。「2度と利用しないし、御前も利用しない方が良いよ。」と散々忠告されていたので、自分はBIG MOTORを利用した事は無い。
「社員への『罰金』問題(2016年)」が発生したものの、「あんなにも大きな会社だから、流石に『車を故意に破損させる。』なんて事はしないだろう。」と思ったりしていたのだけれど、今年になって「不正車検の実施及び運輸局による処分」に続き、「損保各社への不正請求・故意による顧客車両の破損・社員への強権的な処分」が明らかとなった。
破損していない箇所を故意に破損させる行為としては「ヘッドライトのカヴァーを割る。」、「ドライヴァーで車体を引っ掻く。」、「靴下に入れたゴルフ・ボールを振り回して車を叩き、雹害で受けた傷を拡大させる。」等々が、破損していない箇所を修理する行為としては「不必要な部品交換を実施する。」、「損傷の無いないパネルへ板金を行った」等々が、そして修理の詐称行為としては「塗装品質を、実際より高く偽る。」、「損傷が在る様に見せ掛けた写真の提出。」等々の事例が確認されたと言う。
又、外部の弁護士で作られた特別調査委員会が、BIG MOTORの従業員の一部を対象にアンケート調査を行った結果、「車の修理等を担当する382人の内、約27.2%の104人が『不適切な保険金の請求に繋がる不正な作業に関与した。』と、そして約17.8%の68人が『自分以外の人が、不正な作業に関与しているのを見聞きした事が在る。』と回答した。」そうだ。
「飲食店で食べ物の中に、持って来たゴキブリを入れ、『こんな物が入っていた。どうしてくれるんだ!!』と店側を脅し、金を巻き上げる。」というのは、ちんぴらが良く使う手法として有名だけれど、「店員が自分達で客の車を破損させ、修理代を要求する。」というのは、似た感じがする。全く許せない話だ。
こんなにも多くの人間が不正に関与し、破損手口も定まっている様な点、そして尋常では無いレヴェルのノルマを課し、達成出来なかった者は問答無用で降格させ捲っていたという現実を考え合わせると、“会社包みでの不正”と考えるのは自然だろう。BIG MOTORの兼重宏行社長は今回の責任を取り、「自身の報酬を1年間、100%返上する。」と発表したが、会社包みの不正としか思えない状況で、彼が直接的に指示したかどうかは別にしても、不正の事実を全く知らなかったとは思えないし、上層部の一新をしない限り、此の会社の体質は変わらないだろう。
「車を売るならBIG MOTOR♪」ならぬ、「車を“葬る”ならBIG MOTOR♪」だった訳だ。イメージダウンを避ける意味でも、佐藤隆太氏は同CMを降りた方が良いと思う。
以前書いたけれど、「もう30年近く前になるが、キッチンの床が撓んで来たので、或るリフォーム会社に見積もりを依頼した。其処は当時、超有名芸人が出演するCMを大々的に流しており、『大丈夫だろう。』と思ったのだ。で、社員が自宅に来て床をチェックしたのだが、実に横柄な態度だった。郵送されて来た見積もりも納得行かない点が多く、(見積もりを作成した)事業所に電話して回答を求めた所、「追って連絡します。」と答えたものの、以降は梨の礫。何度か電話&メールするも全く回答が無かったので、本社の御客様対応窓口に「どうなっているのでしょうか?」と詳細をメールするも、矢張り全く回答無し。結局、“そういう会社”だったという事で、申し訳無いがCMに出演していた芸人の事も嫌いになってしまった。(彼は割合早い時期に、同CMに出なくなったのだけれど、悪い噂を聞いての決断だったのだろうか?だとしたら、非常に賢明だ。)