*********************************
良心の呵責を覚える事無く、自分にとって邪魔な者達を、日常的に何人も殺して来たサイコパスの辣腕弁護士・二宮彰(にのみや あきら)。或る日、彼が仕事を終えてマンションへ帰って来ると、突如「怪物マスク」を被った男に襲撃され、斧で頭を割られ掛けた。九死に一生を得た二宮は、男を捜し出して復讐する事を誓う。
一方其の頃、頭部を開いて脳味噌を持ち去る連続猟奇殺人が、世間を賑わしていた。全ての発端は、26年前に起きた「静岡児童連続誘拐殺人事件」に。
*********************************
第17回(2018年)「『このミステリーがすごい!』大賞」で大賞に選ばれた小説「怪物のきこり」(著者:倉井眉介氏)。主人公の二宮彰は辣腕弁護士だが、享楽的に殺人を繰り返す人間でも在った。そんな彼が連続猟奇殺人事件の“被害者”になるのだが、「何故、彼は襲撃されたのか?」、「連続猟奇殺人事件の犯人は誰で、動機は何なのか?」といった事を、読者は推理する事になる。
非常に奇抜な設定。大昔に「ロボトミー」という手術も存在したので、こういう設定も「在り。」なのだろうが、奇抜な設定で在るからこそ、“もっと本当っぽい記述と展開”が必要ではなかったか?奇抜な設定だけが先行してしまい、読み終えてみたら「何だかなあ・・・。」という思いが残った。
全体として、“御都合主義な設定”が気になる。上で書いた様に、奇抜な設定で在るからこそ、御都合主義な設定を少しでも感じてしまうと、作品世界にどっぷりと入り込めなくなってしまう。
総合評価は、星3つとさせて貰う。