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ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

“性善説に基づく制度”を改め、泣き寝入りを許さない社会に

2018年01月22日 | 其の他

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債権等の消滅時効民法167条第1項)

債権は、10年間行使しない時は、消滅する。

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15日に放送されたNNNドキュメントは「泣き寝入り・・・ ~犯罪被害と賠償金の行方~」というタイトルで、「被害者が賠償金を支払わず、泣き寝入りさせられている被害者達の現実。」を取り上げていた。

 

番組では、2人の犯罪被害者が登場。1人は現在55歳の男性A氏で、彼は10年前の2008年5月、仕事で訪れた大阪因縁を付けて来た30代の男Bに顔面を殴られ、後頭部を道路に強打し、意識不明に。急性硬膜下血腫及び脳挫傷と診断され、20日間生死の境を彷徨う。意識は取り戻したものの、身体には重い障害が残り、現在、月に3~4回通院しなければならない。経営していた会社は廃業。働く事が出来なくなった彼は、収入の状況に。犯罪被害者等給付金として約420万円を受けるも、家のバリアフリー工事費や医療費等で、あっと言う間に無くなってしまったと言う。

 

A氏はBに対して損害賠償をさせるべく民事訴訟を起こし、裁判所は「医療費や将来の介護費として、賠償金約1億6千万の支払い。」をBに命じた。然し、Bは賠償金を一切支払う事無く、行方を晦ます

 

もう1人の犯罪被害者C氏は、17年前の2001年、26歳の息子を失った。男2人に言い掛かりを付けられ、暴行された上での死だった。C氏は加害者2人に損害賠償をさせるべく民事訴訟を起こし、裁判所は彼等に対して約8,900万円の支払いを命じる。然し、彼等も一切賠償金を支払う事無く、行方を晦ます。

 

或る日、C氏は知人から「加害者の1人が自身のFacebookを開設し、写真を載せている。」という連絡を受けた。早速確認した所、自身が経営していると思われるネイル・サロン店舗で、又、ゴルフ場でゴルフに興じる彼の写真が載っていた。賠償金の支払いを求めた所、「ネイル・サロンは母親が経営している物で、自分は関係無い。刑務所に入っていた時に罹患した病気の影響で働けなくなり、今は生活保護を受けている。だから、賠償金は支払えない。」との回答が。

 

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殺人・殺人未遂傷害致死事件の被害者達に行った賠償金に関する調査」結果(2015年、日弁連

 

・賠償金や示談金を全額受け取った。:0%

・被害者側への支払いが一切無し。:60%

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離婚の際に取り決めた慰謝料養育費が支払われなくなった事で、困窮する家庭が増えている。」という話は聞き及んでいたが、賠償金に関しても泣き寝入りさせられている人達が多い現実。「民事訴訟が起こされれば、裁判所は判決を出すものの、基本的に当事者間で問題の解決を図れ。」というのが、我が国スタンス。又、「裁判で賠償金の支払いが命じられたら、人は皆、きちんと支払う。」という“性善説”に基づいたシステムが、加害者達の“逃げ得”を許している面が在るだろう。

 

で、話を冒頭に記した条文に戻すが、「賠償金支払いを命じた判決は、10年間支払いが行わなければ失効する。」という現実が在る。詰まり、「賠償金の支払いを裁判所に命じられても、10年間支払わないで逃げ切れば、加害者は支払う義務が、“原則的に”無くなる。」という事なのだ。「原則的に」と書いたのは例外が在るからで、「10年内に改めて“再提訴”すれば、支払い義務は更に10年延長される。」のだが、再提訴には高額な費用(数十万円)が必要で、当然負担は被害者。再提訴し、延長が認められた所で、加害者が支払いに応じるかは判らない。だから、再提訴をしないで泣き寝入りする事になる被害者が多いと。

 

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ノルウェーの場合

の「暴力犯罪補償庁」が、被害者に補償金を支払う。そして「回収庁」が加害者に、“求償”という形で補償金額を取り立てる。

 

スウェーデンの場合

民事訴訟の判決が出ると、国から委託された「強制執行庁」が加害者から賠償金を取り立てる。回収が不可能な場合は、「犯罪被害者庁」が被害者に補償金を支払い、加害者に対して“求償”という形で補償金額を取り立てる。

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両国共、国民1人1人に対して“資産の紐付け”がされており、「資産が無いから、賠償金を払えない。」という嘘は見破られてしまうとか。我が国の場合、マイ・ナンバー制度が導入された事から、同様の事は出来そうだが、2016年から法制審議会で始まった「民事執行法改正に付いての議論」では、「賠償金の支払いが命じられた際、金融機関は裁判所から求められれば、加害者の口座情報を回答しなければならない。」という“案”は出たものの、口座に御金が無ければ其れだし、仮に御金を含めた資産が在ったとしても、国では無く被害者側が取り立てるというスタンスは変えていない様だ。

 

“性善説に基づく制度”を改め、泣き寝入りを許さない社会にしないと駄目。ノルウェー等に倣い、制度を早く改めて貰いたい。


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2 コメント

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Unknown (悠々遊)
2018-01-22 21:23:39
こんばんは。
こういう現実があるのですね。
加害者にとって美味しい国なんですね。
そもそも刑事事件による刑事罰(罰金刑・懲役刑や禁錮刑)は国家権力による懲罰であって、被害者にとって経済的救済にはなっていませんね。
特に、現在の仕組みでの罰金刑は、お上の手を煩わせたその手数料的な意味合いでしかないように思います。

本来的に言えば、刑事罰は被害者による仇討・復讐を止めさせ、刑の公平性を担保するのが目的のはず。
ならば、罰金刑の中に被害者への弁済も含めるべきで、国が決めた罰金である以上、国が被害者に肩代わりして時効なしで取りたてるべき。
万一取りたてられなかったら、国の責任において国庫からでも支払うべきでしょう。

使途不明の官房費などに多額の予算を付けるぐらいなら、使用目的のはっきりした筋の通るこうしたことに税金を使うべきです。
被害補償を求めて被害者側に別途民事訴訟を起こさせること自体が理不尽だと思います。
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>悠々遊様 (giants-55)
2018-01-23 00:13:00
書き込み有難う御座いました。今回は、此方にレスを付けさせて貰います。

“民事不介入”というのは国民を“大人扱い”している様で、実際には「私生活の面倒事は、個人が勝手に解決しろ。其の結果として、個人がどうなろうが知った事では無い。」という“国の本音”が透けて見えます。

自分や御友達に関する私事には国費を使い捲るのに、国民は蔑ろにする。こんな国が、本当に美しい国なのだろうか?

「罰金刑の中に、被害者への弁済も含めるべき。」、「使途不明の官房費等に多額の予算を付ける位なら、使用目的のはっきりした筋の通るこうした事に、税金を使うべき。」、全く其の通りです。経済的には発展しているのに、幸福度とい点では必ずしも満たされていない現実には、“政治の低レヴェルさ”というのが大きく影響している様に思います。そういう政治を産んでいるのは、国民の責任でも在るのですが。
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