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「走って逃げる蝸牛」(1月16日付け東京新聞[夕刊])
北海道に生息する蝸牛「エゾマイマイ」は、敵から襲われると、通常の約1.3倍の速さで「走って」逃げる事を、京都大の森井悠太特定助教(進化生態学)と北海道札幌啓成高校の生徒等のチームが、15日迄に突き止めた。成果は、国際学術誌に掲載。札幌啓成高科学部の生徒6人は、「貢献が大きかった。」として、共著者として論文に名前が記された。
チームによると、蝸牛は外部からの攻撃に対し、殻の中に引っ込んで遣り過ごす事が多い。チームは「走って逃げる生態の報告は『世界初』とするが、速度の上昇は極僅かで、『蝸牛なりに走っているが、実際に敵から逃げ切る事が出来ているかどうかは判らない。」と言う。
チームは、直径15cm、高さ90cmの円柱形容器を作製。エゾマイマイを中に入れ、天敵からの攻撃を模擬して針で刺激を加え、移動速度を測定した。約3年間掛けて、計110回実験を繰り返した。通常時は平均速度が毎秒1.05mmだったのに対し、刺激を加えた後は同1.27mm~1.35mmに増加した。
エゾマイマイは国内に生息する他の蝸牛と比べてサイズが大きく、殻を振り回して天敵オサムシを撃退する珍しい行動を取る事が既に知られている。
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非常に面白い研究結果だ。「一般的な蝸牛は外部からの攻撃に対し、殻の中に引っ込んで遣り過ごす事が多い。」というのに、エゾマイマイの場合は“特異な天敵撃退法”に加え、「三十六計逃げるに如かず」という考えを持っているのだろう。