16日にテレビ東京系列で放送された「ネオスポーツ the documentary!」を見ていたら、野球評論家の駒田徳広氏と佐野慈紀氏が、昨今のFA事情に付いて語っていた。
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「『たった1日で判断なんかしない。』 プロ野球OBがトライアウトに苦言」(11月17日、Sports Watch)
16日放送、テレビ東京「ネオスポ」では、巨人や横浜で活躍した駒田徳広氏、大阪近鉄時代に中継ぎでチームを支えた佐野慈紀氏が出演。「駒田、佐野の危険なFAトークバトル」と題し、昨今のFA事情に付いて語り合った。
1993年オフ、中日に在籍した落合博満氏の巨人入りが現実味を帯びて来ると、1塁レギュラーの座に危機感を感じた駒田氏は、横浜への移籍を希望する。
当時を振り返った駒田氏は「落合さんが、巨人にいらっしゃる。どういう手順でいらっしゃるんだろう。此の儘、自分はじっとしてて良いのか。僕自身は余りマスコミの人に話掛けて聞かないけど、彼の頃は聞きましたね。どうなってんだろうねって。」と明かす。
又、御金より試合出場を重視したという駒田氏は「御金よりもベンチに座ってる自分が嫌だった。御金の交渉なんて、1回もしてませんから。彼のFAに関しては。入団発表の1日前に当時、近藤昭仁監督から『駒、御免ね。御金の話、1回もしてなかったね。現状維持で良いね?』って電話がプッと切れました。」といったエピソードも披露した。
すると佐野氏は、御金に纏わるFAの裏側を暴露。「此れは、日本では無くアメリカで。例えば其の選手が高級車を欲しがっていたら、或る日突然、高級車が届いたりとか。今は殆ど無いと思うんですけど、昔は日本の球界でも、FAではとんでもない事が起きていたという噂を聞きました。」と切り出した。
「(日本でも)道が出来た。地元の政治家が大臣になったら、道路が出来るのと同じ様な状況です。住宅ローンが無くなってたとか。新しい家が建ったとか。行き成り親から電話が掛かって来て、家の玄関に門が出来たとか。」。具体的にこう語った佐野氏は、御金に物を言わせて大物選手を補強した交渉の裏側を明かす。
其の他にも、トライアウトに付いて苦言を呈した両者。「彼のトライアウト見てても、何か違うんだよな。」と駒田氏が首を傾げると、佐野氏も「彼の選手達をフリー・エージェントって言わなきゃ駄目ですよ。」と同調した。
其の理由に付いて、「戦力外になって、野球続けたい思いでトライアウトを受ける訳じゃないですか。ところが、来なかった選手も居る訳ですよ。来なかった選手を何処何処が指名するとか、他の球団が勝手に獲る訳です。フリー・エージェントじゃないですか。『自由に交渉しなさい。』っていうのが普通だと思うんですよ。1年間ずっとファームの試合も見てる訳です。たった1日で判断なんかしないですって。其れを恰も、此処で活躍したら、何処かの球団が獲ってくれるんじゃないかっていう興行になってしまっているのが残念。」と捲し立てた。
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トライアウトを受けた選手が他球団から声を掛けられたりする事は在るし、スカウト陣がずっと張り付いていても見落としたり、其れ迄には目立たなかった“原石”が在るやもしれない。そういった可能性を考えると、「トライアウト自体が意味無し。」とは思わないが、駒田氏の言う様に「トライアウトが興行になってしまっている。」というのは、自分も感じていた。
トライアウトに挑戦する選手達を追い掛け、無理無理に“感動物”に仕立てるTV番組も、時にはどうかと思ったりする。以前、ドラフト会議に付いても書いたけれど、トライアウトも“1人1人の人生”が懸かった重要な場で在り、幾ら「プロは、見せて何ぼの世界。」とはいえ、過度にイヴェント化されるのは抵抗を覚える。