*********************************
高校の同窓会で、久し振りに再会した旧友4人。嘗て生徒を囚人扱いしていた保健体育の教師・樫村貞茂(かしむら さだしげ)の変わらぬ姿を見た彼等は、恨みを晴らそうと仕返しを計画。予定通り、暴行して置き去りにするも、翌日何故か樫村は、暴行現場から2km離れた溜め池で溺死体となって発見された。一体何故?そして、4人の内、誰が彼を殺害したのか?
其れ其れが疑心暗鬼に陥る中、新たな犠牲者を出した殺人事件が、高校時代の衝撃的な秘密を浮き彫りにさせる。過去と決別出来ない者達を、巧妙に追い詰めて行く悪魔の正体とは?
*********************************
中学や高校時代、生活指導を担うのは、大概保健体育の教師だった。今は判らないけれど、当時の保健体育の教師と言えば、がたいが良く、風貌も恐ろしい感じの、言葉は悪いけれどヤクザっぽい雰囲気の者が少なく無かったりした。自分自身が悪さをした場合は別だが、迸りを食って彼等に叱られる事も在り、そんな時に受けた体罰を恨みに思う生徒も居た事だろう。自分(giants-55)の場合、迸りを食って体罰を受けた時に「酷いなあ。」とは思ったけれど、軽微な体罰だったので心に傷を負う事は無かったけれど、度を越した体罰を受けたならば、今回読了した小説「仮面同窓会」(著者:雫井脩介氏)に登場する4人の男性の様に、大人になってもトラウマを抱え続けて生きている人間が居てもおかしくは無い。
主人公の新谷洋輔(しんたに ようすけ)が折に触れて“兄”と会話するシーンが描かれているのだが、「此れは、二重人格を扱った作品だな。良く在るパターンだ。」と思っていた。しかし、其の正体には吃驚。意外な設定は、評価に値する。
でも、其処からが全く駄目。其の正体のコントみたいな記述、其れも安っぽいコントといった類いの記述には、興醒めも良い所。洋輔の次兄が死んだ際の真相に付いては、早い段階で見当が付いたし、後半のグダグダ感は酷い。後味が悪く、締めの記述なんぞは最悪だ。
総合評価は、星1.5個とする。