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「ウクライナの鉱物資源、実態は プーチン氏は占領地での開発提案」(2月26日、毎日新聞)
ロシアの侵攻を受けるウクライナと最大支援国・米国の間で、鉱物資源の共同開発を巡る合意が纏まった。トランプ米政権は予て、軍事支援の見返りとして、ウクライナ国内の希少鉱物資源の権益譲渡を求めて来た。其の実態は、何の様な物なのか。
英紙ガーディアンによると、世界の鉱物資源の約5%がウクライナに存在すると推定されている。又、欧州連合(EU)が指定した34種の重要鉱物の内、22種を有するとされる。
特に、電気自動車(EV)の電池に使われるリチウムの埋蔵量は約50万トンで、欧州全体の3分の1を占めると言う。同じくEV等で使われる黒鉛は、世界の5分の1をウクライナが占めるとされる。飛行機の機体等に使用される軽金属チタンの主要供給国でも在り、2019年には世界の生産量の約7%を占めた。
だが、ロシアの侵攻後、此れ等の鉱床が在る地域の一部は、露軍に占領された。英BBC放送が報じたウクライナ政府高官の話によれば、占領地域には3,500億ドル(約52兆円)相当の資源が残されていると言う。
現在、世界で技術革新が進む中、鉱物資源の価値は高騰している。米CNNはトランプ政権がウクライナの資源を欲する理由に付いて、重要鉱物の多くで圧倒的なシェアを握る「中国の優位性」を指摘する。最大の競争相手と見る中国への依存から脱却する為、代替供給国を捜す事が、米国で重要な課題に成っている模様だ。
一方、プーチン露大統領は24日のインタヴューで、米国とウクライナの鉱物資源を巡る交渉に関して「我々には無関係。」としつつ、「ロシアは、此の種の資源を桁違いに多く保有している。」と言及。「新たな歴史的領土を含め、米国等、全ての外国のパートナーと(開発で)協力する用意が在る。」とアピールした。
プーチン氏は「新たな歴史的領土」に付いて、「ロシアに戻って来た。」と説明した。ロシアが大部分を占領し、2022年9月に一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部4州を指すと見られる。外国との共同開発が始まれば、占領地域の実効支配を国際的に認めさせられるとの狙いが透けて見える。
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「ウクライナに一方的に攻め入ったロシアを、ウクライナに眠る莫大な鉱物資源を狙うアメリカが擁護する。」という薄汚い構図。「ロシアのウクライナ侵攻」が始まってから3年が過ぎ、「終わりの見えない戦争を自分が終わらせれば、欲しくて欲しくて堪らないノーベル平和賞を受賞出来る。」と企んでいる(とされる)ドナルド・トランプ大統領にとっては、一石二鳥どころの話では無いだろう。
領土割譲&自国資源の分捕りという可能性が在るのに、当事国のウクライナが蚊帳の外に置かれているというのは、全く理解出来無い。古今東西、大国のエゴによって小国が"蹂躙"されるのは珍しく無いけれど、此処迄露骨に"大国の遣りたい放題"が許されてしまえば、世界秩序は完全に崩壊してしまうだろう。国連の存在意義は益々薄れて行くし、小国にとっては決して"対岸の火事"では無い。
こういう時こそ、日本は毅然とした態度で在って欲しい。アメリカに只管阿るのでは無く、是々非々で外交に臨む事が肝要。