「有事の金」と言われ、安定資産としても知られる金。世情が不透明になると金を買い求める人が増え、結果的に金の小売価格は高騰。2019年には「5千円前後/g」だった金の小売価格も、近年は高騰を続け、先月31日には「15,162円/g(税込み)」と過去最高値を更新。5年間で3倍近くに成ったのだから、其の高騰振りは凄まじい。
金の小売価格は何故、そんなにも高値を付けるのか?「過去に通貨として使われていたという歴史が在るから。」という理由も在るが、そんな事を言ってしまったら、「貝殻だって大昔は、通貨の役割を果たしていた時代が在った。」けれど、今は「(貴重な物を除いては)貝殻の取り引きで、莫大な金が動く。」なんて話は聞いた事が無い。
「柔らかいので加工性が高く、腐食し難い。」という"利便性"も在るが、「他の金属と比べた場合、地球上の埋蔵量少ない上に、採掘には膨大な時間や労力、コストが必要な為、年間に採掘出来る量にも限界が在る。」という"希少価値"の高さが、金の小売価格の高騰を後押ししている。
此方の情報によると、「人類が金を採掘して利用する様に成ったのは今から約6千年前で、其の約6千年間の間に採掘された金の総量は約17万トンと推定されている。」そうだ。「体積に置き換えると、オリンピックサイズ・プールの約3.8杯分。」というのだから、「採掘技術が未熟だった時代が長かったとはいえ、約6千年間でそんなに少ししか採掘出来ていないんだ。」という驚きが在る。
WGC(金産業の国際貿易協会)の調査によると、「地球上に残る未採掘の金の埋蔵量は、残り約6万トン。」と推計されており、「現在の金の年間採掘量が約3千トン。」で在る事を考え合わせると、同じペースで採掘し続けた場合、「約20年の内に、採掘可能な金は枯渇してしまう。」という計算に成る。
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「中国で巨大金鉱床発見 埋蔵千トン、13兆円規模か」(11月21日、共同通信)
中国湖南省の地質研究機関は21日、「同省平江県の地下で、巨大な金の鉱床を発見した。」と発表した。専門家の分析によると、「埋蔵量は千トン以上で、資源価値は6千億元(約12兆8千億円)の規模が見込まれる。」と言う。
国営通信新華社が報じた。専門家は、「金を採掘出来る可能性が高い。」との見通しを示している。
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「千トン以上という埋蔵量」は確かに凄いが、「現在の金の年間採掘量が約3千トン。」という事を考えると、そう多く無い気もして来る。とは言え、19世紀にアメリカ等で起こった「ゴールド・ラッシュ」が、21世紀の中国で("人"としてでは無く、"国家"としてだが。)再現されるかも。(「量としての希少価値が下がれば、金の小売価格もグンと下がる。」という懸念は、先ず「持たなくて良いレヴェル。」と考える。)
唯、今回のニュースに疑問を呈している人も居る。此方に紹介されている豊島逸夫氏(経済評論家)も、そんな1人だ。「中国の金鉱山を現地で見学した事も在る身として、(今回のニュースは)話10分の1程度に受け止めている。」とした上で、「先ず、(今回見付かったのは)地下2千mの深い地層(から)との事だが、(抑)中国の金鉱山は地下数百m規模が多く、深層採掘技術のレヴェル(自体)が低い。金のマイニング・エンジニアリングの水準となると、地下3千m迄採掘していた南アフリカに専門技術者が偏在する。中国が、其の人材をリクルートした事は考えられるが、個人的には懐疑的だ。更に、金鉱石1トン当たりの金含有率が最も高いと『138g』に達すると言われているが、此れは本の一部の鉱脈の話で在ろう。今や世界では、金鉱石1トンから純金1g抽出出来れば御の字だ。」と。
続報を待ちたい。