先日の記事で取り上げた「眼で食べる日本人」(著者:野瀬泰申氏)という本。食に関しての興味深い話が幾つか載っていたのだが、レストランでメニューを見る際の日本人とフランス人の違い等もその一つだった。
福原義春氏が著した「金の舌 銀の味」という本の中で、次の様な件が在るのだとか。
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特にフランス人は、メニューを見ながら延々三十分位議論するんですよ。あれにしようとか、これにしようとか、この前此処でこの料理を食べたら美味しかったとか、これだったらあの店で食べた方が良いとか、メニューにこれが載っているけど、オフシーズンなのにおかしいじゃないかとか・・・。そうする事が楽しいんですね。その間にウェイターが来てサジェスチョンしてくれる。
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野瀬氏も指摘しているが、これは高級レストランでの光景かもしれないし、全てのフランス人が同様に、30分程も時間をかけてメニュー選びしている訳ではないかもしれない。しかし、少なくとも平均的な日本人の場合、メニュー選びにかける時間は長くて数分というのが現実ではなかろうか。
店側も入店即注文を前提としている様で、客が席に座ると店員が傍らに伝票(又は注文を入力する機械)を持って立ち、注文を無言で促している。なかなか客の注文が決まらないと、店員のイライラした雰囲気が如実に伝わって来て、「決まったら呼んで下さい。」と踵を返して去ってしまうというのが一般的かと。
日本人とフランス人の間でこの様な違いが生まれる一つの要因に、店頭に飾られる食品サンプルの有無が在るのではないかというのは、納得出来てしまう所だ。
他に面白いなあと思ったのが、地域による食文化の違い。国土が決して広いとは言えない我が国だが、それでも地域によって大きな違いが在るのは不思議と言えば不思議でも在る。
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① きつねorたぬき
この話はかなり有名なのだが、関東圏と関西圏ではうどんの呼び名が異なるという事。TVの普及によって地域の差異が少なくなり、均一化が進んだ最近では大分状況が変っているのかもしれないが、嘗ては関西圏のうどん屋で「たぬきうどんを下さい。」と注文すると、「たぬきなら蕎麦ですね?」と聞き返され、「いや、たぬきのうどんです。」と答えると、「ですから蕎麦ですよね?」と念を押し返されるという、奇妙な遣り取りが在ったという。
何故この様な齟齬が生じたかと言えば、関西圏ではうどんに甘く炊いた油揚げを乗せた物が「きつね(うどん)」で、それが蕎麦の場合を「たぬき」と呼ぶ。しかし、関東圏では「きつね」は油揚げを指し、油揚げを乗せた蕎麦は「きつね蕎麦」となる。つまり、関西圏で言う所の「たぬき」に当たる訳だ。関東圏の「たぬき」は天かす(揚げ玉)を指し、「たぬきうどん」はうどんに天かすを散らした物となるのだが、これを関西圏では「すうどん」又は「はいからうどん」と呼んでいたのだとか。”当時”、関東圏で言う所の「たぬきうどん」を関西圏で食べる為には、「天かすが乗ったうどん」と言う必要が在ったとの事。
② カツ丼
「カツ丼」という呼び名が同じでも、地域によってその内容が異なる。全国平均では、トンカツを卵でとじた物を指すが、名古屋の場合は味噌カツ、福井や長野ではソースカツ丼が優勢だとか。岡山にはドミグラソースがかかっている物も在るそうだ。
③ 焼き鳥
「三大焼き鳥都市」なるものが在るそうで(本当か?
)、室蘭では豚の精肉、埼玉県東松山市はモツ焼き、愛媛県今治市では鶏を焼き鳥と呼んでいるとの事。その他に、九州では海老、イカ、貝柱、キビナゴ、シシャモといった魚介類や、串に刺したソーセージも焼き鳥の範疇に入っているとか。
④ 湯豆腐
関東圏では豆腐や野菜を煮て、ポン酢や醤油に付けて食する。鍋の中自体には味が付いていないのが一般的。しかし、関西圏の場合は熱いだし汁に豆腐が入っているケースが多く、だし汁だからその汁自体も飲み干すという違いが在る。
⑤ おでん
関東圏で「すじ」と言えば、魚の骨を潰して固めた物が一般的だが、関西圏では牛すじを指す。
又、卵は全国的にほぼゆで卵を指すが、野瀬氏が松江のおでん屋で「卵」と注文した所、汁に浸かった厚焼き玉子を出されてビックリした事が在ったのだとか。
⑥ 胡椒
「最近はどうか判らないが。」という断り付きで紹介されている話だが、嘗て九州では胡椒と辛子を共に「コショウ」と呼んでいたそうだ。その名残とも言えるのが九州を代表する伝統的な香辛料の「柚子胡椒」(これは本当に美味!自分も大好きな香辛料だ。)で、その名前に反して原料に胡椒は使われておらず、使われているのは唐辛子。本来は「柚子唐辛子」とすべき所なのだが、嘗て辛い物は全て「コショウ」と呼んでいた事からこう名付けられたとしている。
自分も以前からこの胡椒・・・ならぬ呼称に疑問を持っていたのだが、やっと理由が判ってホッとした思い。
⑦ 九州の天婦羅うどん
嘗て九州には、「天婦羅うどん」と称される物が二つ存していたそうだ。一つは一般的に認識されていると思われる海老天が乗ったうどん。そしてもう一つは、薩摩揚げ(丸天)の乗ったうどん。
鹿児島を始め九州で天婦羅と言うと昔から薩摩揚げを指していたそうで、その意味では薩摩揚げの方が天婦羅の先住民族的存在との事。そういった地域に、後追いで海老の天婦羅がうどんの添え物として入って来た為、別物とはいえ同じ天婦羅なので仕方無しに海老天が乗ったうどん”も”「天婦羅うどん」と呼ぶ様になったのではないかと野瀬氏は指摘している。
故に、混乱を避ける為に嘗ては「海老の天婦羅うどんを下さい。」とか、「丸天一杯。」といった様に区別して注文していたそうだ。
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食文化もなかなか奥深い。
福原義春氏が著した「金の舌 銀の味」という本の中で、次の様な件が在るのだとか。
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特にフランス人は、メニューを見ながら延々三十分位議論するんですよ。あれにしようとか、これにしようとか、この前此処でこの料理を食べたら美味しかったとか、これだったらあの店で食べた方が良いとか、メニューにこれが載っているけど、オフシーズンなのにおかしいじゃないかとか・・・。そうする事が楽しいんですね。その間にウェイターが来てサジェスチョンしてくれる。
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野瀬氏も指摘しているが、これは高級レストランでの光景かもしれないし、全てのフランス人が同様に、30分程も時間をかけてメニュー選びしている訳ではないかもしれない。しかし、少なくとも平均的な日本人の場合、メニュー選びにかける時間は長くて数分というのが現実ではなかろうか。
店側も入店即注文を前提としている様で、客が席に座ると店員が傍らに伝票(又は注文を入力する機械)を持って立ち、注文を無言で促している。なかなか客の注文が決まらないと、店員のイライラした雰囲気が如実に伝わって来て、「決まったら呼んで下さい。」と踵を返して去ってしまうというのが一般的かと。
日本人とフランス人の間でこの様な違いが生まれる一つの要因に、店頭に飾られる食品サンプルの有無が在るのではないかというのは、納得出来てしまう所だ。
他に面白いなあと思ったのが、地域による食文化の違い。国土が決して広いとは言えない我が国だが、それでも地域によって大きな違いが在るのは不思議と言えば不思議でも在る。
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① きつねorたぬき
この話はかなり有名なのだが、関東圏と関西圏ではうどんの呼び名が異なるという事。TVの普及によって地域の差異が少なくなり、均一化が進んだ最近では大分状況が変っているのかもしれないが、嘗ては関西圏のうどん屋で「たぬきうどんを下さい。」と注文すると、「たぬきなら蕎麦ですね?」と聞き返され、「いや、たぬきのうどんです。」と答えると、「ですから蕎麦ですよね?」と念を押し返されるという、奇妙な遣り取りが在ったという。
何故この様な齟齬が生じたかと言えば、関西圏ではうどんに甘く炊いた油揚げを乗せた物が「きつね(うどん)」で、それが蕎麦の場合を「たぬき」と呼ぶ。しかし、関東圏では「きつね」は油揚げを指し、油揚げを乗せた蕎麦は「きつね蕎麦」となる。つまり、関西圏で言う所の「たぬき」に当たる訳だ。関東圏の「たぬき」は天かす(揚げ玉)を指し、「たぬきうどん」はうどんに天かすを散らした物となるのだが、これを関西圏では「すうどん」又は「はいからうどん」と呼んでいたのだとか。”当時”、関東圏で言う所の「たぬきうどん」を関西圏で食べる為には、「天かすが乗ったうどん」と言う必要が在ったとの事。
② カツ丼
「カツ丼」という呼び名が同じでも、地域によってその内容が異なる。全国平均では、トンカツを卵でとじた物を指すが、名古屋の場合は味噌カツ、福井や長野ではソースカツ丼が優勢だとか。岡山にはドミグラソースがかかっている物も在るそうだ。
③ 焼き鳥
「三大焼き鳥都市」なるものが在るそうで(本当か?

④ 湯豆腐
関東圏では豆腐や野菜を煮て、ポン酢や醤油に付けて食する。鍋の中自体には味が付いていないのが一般的。しかし、関西圏の場合は熱いだし汁に豆腐が入っているケースが多く、だし汁だからその汁自体も飲み干すという違いが在る。
⑤ おでん
関東圏で「すじ」と言えば、魚の骨を潰して固めた物が一般的だが、関西圏では牛すじを指す。
又、卵は全国的にほぼゆで卵を指すが、野瀬氏が松江のおでん屋で「卵」と注文した所、汁に浸かった厚焼き玉子を出されてビックリした事が在ったのだとか。
⑥ 胡椒
「最近はどうか判らないが。」という断り付きで紹介されている話だが、嘗て九州では胡椒と辛子を共に「コショウ」と呼んでいたそうだ。その名残とも言えるのが九州を代表する伝統的な香辛料の「柚子胡椒」(これは本当に美味!自分も大好きな香辛料だ。)で、その名前に反して原料に胡椒は使われておらず、使われているのは唐辛子。本来は「柚子唐辛子」とすべき所なのだが、嘗て辛い物は全て「コショウ」と呼んでいた事からこう名付けられたとしている。
自分も以前からこの胡椒・・・ならぬ呼称に疑問を持っていたのだが、やっと理由が判ってホッとした思い。

⑦ 九州の天婦羅うどん
嘗て九州には、「天婦羅うどん」と称される物が二つ存していたそうだ。一つは一般的に認識されていると思われる海老天が乗ったうどん。そしてもう一つは、薩摩揚げ(丸天)の乗ったうどん。
鹿児島を始め九州で天婦羅と言うと昔から薩摩揚げを指していたそうで、その意味では薩摩揚げの方が天婦羅の先住民族的存在との事。そういった地域に、後追いで海老の天婦羅がうどんの添え物として入って来た為、別物とはいえ同じ天婦羅なので仕方無しに海老天が乗ったうどん”も”「天婦羅うどん」と呼ぶ様になったのではないかと野瀬氏は指摘している。
故に、混乱を避ける為に嘗ては「海老の天婦羅うどんを下さい。」とか、「丸天一杯。」といった様に区別して注文していたそうだ。
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食文化もなかなか奥深い。

天かす入りを「素うどん」とは言わないと思います。
ただ店によっては「天かす」がテーブルにおいてあり、「ご自由にどうぞ」みたいなところはあります。
>湯豆腐
出汁まではいかないですかね?
昆布(こぶ)が一枚いれてあったりとかです。
あくまでぽん酢だのみだと思います。
>さつまあげ
関西でも「さつまあげ」は使いません。
あれは「天ぷら」と呼びます。
しかしうどんに入っていることは、ありません。
>カツ丼
福井県の敦賀市にある「ヨーロッパ軒」という店が、ソースカツ丼界(?)では重要な役回りのようですね。あと、長野は伊那・駒ケ根という地域でソースカツが主流です。ヨーロッパ軒も伊那・駒ケ根も仕事で何度か訪れてまして、実際に食してきました。個人的には、あまり...
>焼鳥
東松山のは味噌ダレなんですよね。大宮、浦和にも東松山流の焼鳥(焼トン?)屋があります。結構好きです(味はややくどいですが)
>おでん
自分、生まれも育ちも関東ですが、すじを「魚の骨を潰して固めた物が一般的」ってのは初耳です(苦笑)
そういえば、コンビニのおでんも、関東と関西ではタネが違うらしいですね。
他にもそういう関西人が東京に生息していると予測されます。
「すじ」が牛すじでないとはじめて知りました。あの、スーパーで売っている白い串さしは牛ではないのですね!!4X年生きてきてはじめて知りました。
20年くらい前になりますが(笑)学食で素うどん90円を毎日食べておりました…。そしてやはり「ご自由に」の天かすを山盛り入れて天ぷらうどん気分で食べるというw
湯豆腐はあくまで「豆腐」を味わうものなので、出汁で煮込むということはないですね。昆布程度です。
美味しい湯豆腐店のポン酢はポン酢そのものが実においしいです。
野菜は入れたとしてもにぎやかし程度でしょうか。
随分前ですが、岡山に遊びに行った時、デミカツ丼を食べました。
かなりこってりしてますが美味しかったです♪
居酒屋メニューで「たこわさ」を頼むと生蛸を刻んだ山葵の茎などと和えたものが出てくるものだと思い込んでいたのですが、以前福岡で「たこわさび」を頼んだら湯だこにおろし山葵を添えたものが出てきて驚いたことがあります(笑)
食べ物の地域差って、旅をする時の楽しみのひとつですね(^_^
いつも楽しく拝見しています。
きつねとたぬきのくだり、興味深かったです。知らなかったです。ご存知の通り、関東圏と関西圏では、うどん(そばも?)の汁の味付けが違うとか聞きます。私は東北人で、神奈川以西に行ったことがないので、関西の透き通った薄味の汁を使ったうどんを食べてみたいです。
関西出身の知り合いに聞くと、関東のうどんは味付けが濃くてなかなか口に合わないようですが、逆に関東(東北人とか)が一度関西の上品なうどんを食べるとやみつきになるとか。もちろん個人の好みもあるとは思いますけど。
メニューを見て注文するとき、俺は意外と優柔不断なところがあって結構時間をかけてしまいます(^^;。
店の人に悪いなぁと思ってもつい・・・ですね(^^;。
①;
これは関東圏と同じですね。
きつねうどん、たぬきそばですわ。
あのCMの影響でそうなりましたね(^^;。
②;
そもそもカツというのはさくさくした衣がベストだと思っていたので、カツどんを食べたとき、お世辞にもうまいとは思わなかったですね。
嫌いじゃないけど、やっぱり揚げ物はさくさくしたものじゃないと揚げ物ではありませんね(きっぱり)(^^;!
③;
おもしろいですねぇ~、焼き鳥の対象が魚介類ですか?
ちょいと興味ありますね(^^)。
④;
ああ~、これはどっちもありですわ(^^)!
だし汁なら関西はおじやにしないのかな・・・?
⑤;
ええ?スジはやっぱ牛スジでしょう~?
関東圏のやり方は聞いたことないですわ・・・(^^;。
卵もだし汁つきは聞いたことないけど、興味ありますな(^^)。
⑥;
へぇ~、やっぱ材料によって言い分けますね(^^)。
胡椒、唐辛子、ハバネロなどね・・・。
⑦;
さすが薩摩国!
その意味がよくわかりましたわ(^^)!
いやぁ、おもしろかったですね(^^)。
ちっちゃな島国でもこれだけ大きな違いがあったんですね。
いやはや、いい勉強になりました(^^)。