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赤字球団の選手の年俸が、1億円超。スタンドに閑古鳥が鳴いても、つぶれない。プロ野球は、不可解なビジネスだ。
(中略)
2009年度の12球団の最終損益を見ると、赤字は東京ヤクルト、横浜、東北楽天、埼玉西武の4球団だけだが、実態は巨人、阪神、広島を除いた9球団が「赤字経営」ともいわれる。からくりは、球団の「広告宣伝費」にある。
通常、親会社の子会社への赤字補填は「寄付金」とみなされ、大半は課税対象となる。しかしプロ野球に限って、1954年の国税庁通達により、子会社の球団への補填を、親会社の「広告宣伝費」として税務上処理できるようになった。
国税庁通達は、親会社を保護することで、戦後復興期の日本で国民的娯楽を育てるのが狙いだった。それが、いつしか親会社の格好の節税対策になった。
プロスポーツの経営に詳しい帝京大学の大坪正則教授(スポーツ経営学)は言う。「球団赤字の損金扱いにより、赤字が容易に許され、球団の親会社依存が高まった。だから、親会社の業績悪化が、すぐに球団売却につながっていく。」
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昨朝、近所のコンビニに行った際、新聞スタンドに目が吸い寄せられてしまった。日刊スポーツに、大きな見出して「今日にも緊急会見 ヤクルト身売り サイバーエージェント有力」と載っていたので。今秋、「ベイスターズの売却問題」が大きく取り上げられたものの、結局は来季も現状通り東京放送ホールディングスが所有し続ける事になったのは、ほんの1ヶ月程前の事。新たな売却話が今年中に出るとは思っていなかったし、其れもスワローズだったというのは意外だった。今回の報道に関してはヤクルト及びサイバーエージェント双方が「事実無根。」というコメントを出した様だが、火の無い所に煙は立たないだろうし、今後の報道を注視したいと思っている。
ところで、冒頭で紹介したのは、先達て読んだ「AERA(11月29日号)」の記事「プロ野球ビジネスは生き返るか」からの抜粋。記事内では「2009年度の12球団の収支成績」が、次の様に紹介されている。(【損】は損益額、【補】は補填額、【客】は観客動員数を指す。損益と補填額に関しては球団の回答及び独自調査を、そして観客動員数に関してはNPBが提供した数字を記している。)
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「2009年度の12球団の収支成績」
ジャイアンツ
【損】15億4,000万円
【補】0円
【客】293万人
ドラゴンズ
【損】約2億円
【補】数億円規模
【客】230万人
スワローズ
【損】-2,100万円
【補】非公表
【客】133万人
タイガース
【損】3億9,700万円
【補】0円
【客】301万人
カープ
【損】4億100万円
【補】0円
【客】187万人
ベイスターズ
【損】-5億300万円
【補】非公表
【客】125万人
ファイターズ
【損】3億2,900万円
【補】非公表
【客】199万人
ゴールデンイーグルス
【損】-434万円
【補】非公表
【客】120万人
ホークス
【損】8億5,500万円
【補】50億円
【客】225万人
ライオンズ
【損】-2,966万円
【補】10数億円
【客】152万人
マリーンズ
【損】5,189万円
【補】20数億円
【客】147万人
バファローズ
【損】0円
【補】非公表
【客】129万人
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「12球団中、球団単体で黒字を出しているのは数チームに過ぎない。」というのは、以前から見聞していた。「球団運営が赤字になったとしても、親会社の知名度アップに貢献していると思えば、安い宣伝費だ。」というのが従来の親会社のスタンスだったのが、景気が此処迄悪化すると、親会社も子会社の面倒を看てはいられなくなったという事なのだろう。
スワローズが赤字経営という話は知っていたが、感覚として「ヤクルトがスワローズを売却する事は無いだろう。」という思いが在った。昔よりは大分薄れたとは言え、「生え抜きの選手をトレードに出すケースが少なく、彼等がスワローズで引退した場合には関連会社で再雇用する等、家族主義的なスタンスが支配する。」同球団だからこそ、「経営的に相当逼迫しない限り、売却なんて発想が出て来ないだろう。」と感じていたから。今オフには「メジャー挑戦」へと大きく心が傾いていた林昌勇投手を、スワローズとしては破格の高年俸を提示して残留させる等、来季に向けての強い意気込みも見せていたし。
ベイスターズの様に具体的な売却交渉が表に出てしまうと、幾ら球団側が「来季も親会社は変わらない、安心して欲しい。」と言った所で、「取り敢えずは変わらないというだけだろ?」という白けた思いが選手達にどうしても残ってしまうだろうし、来季に掛ける彼等のモチヴェーション低下が懸念される。今回は球団が即座に否定のコメントを出したので選手達に与える精神的ダメージは少なくて済みそうだが、でも将来に不安を生じさせたのは事実だろう。
スワローズ云々という話では無く、「プロ野球チームの売却」という事に関して書くならば、買い取る側のトップは「野球に深い愛情と知識を持った人間。」で在って欲しい。利益追求は当然必要だが、「利益さえ得られれば、後は知ったこっちゃ無い。」とか「親会社の認知度が上がりさえすれば良い。」というのが最優先されては困る。「離職率が異常に高い企業は、球団を買い取る資格が無い。」というのも自分の考えだ。社員を大事に出来ない企業が親会社になったら、プロ野球選手達も大事に出来るとは思えないから。
又、以前の記事「『可哀想だ、ハハ、もうしょうがねえ、ヘヘ。』って・・・ふざけるな!!」で、「犬の寿命は10年以上で在り、犬を飼う上では現在のみならず、10年以上先の自身の環境(の変化)をも見据えて、『ずっと飼い続けられるかどうか?』を考慮&決断して欲しい。」と記したが、球団の売却も目先の金銭だけで決めないで貰いたい。「今はそこそこ資金が在るから、球団運営でもしてみようかな。」とか、「数年は何とか球団運営出来る“体力”が在りそうだから、此の企業に売却するか。」みたいな安直さは、プロ野球ファンやプロ野球選手達に失礼。プロ野球は「文化」でも在り、プロ野球チームを持つというのは、そんな軽い話では無いのだ。1950年代の様に、ころころ親会社が変わる時代が、もう在ってはならない。
赤字球団の選手の年俸が、1億円超。スタンドに閑古鳥が鳴いても、つぶれない。プロ野球は、不可解なビジネスだ。
(中略)
2009年度の12球団の最終損益を見ると、赤字は東京ヤクルト、横浜、東北楽天、埼玉西武の4球団だけだが、実態は巨人、阪神、広島を除いた9球団が「赤字経営」ともいわれる。からくりは、球団の「広告宣伝費」にある。
通常、親会社の子会社への赤字補填は「寄付金」とみなされ、大半は課税対象となる。しかしプロ野球に限って、1954年の国税庁通達により、子会社の球団への補填を、親会社の「広告宣伝費」として税務上処理できるようになった。
国税庁通達は、親会社を保護することで、戦後復興期の日本で国民的娯楽を育てるのが狙いだった。それが、いつしか親会社の格好の節税対策になった。
プロスポーツの経営に詳しい帝京大学の大坪正則教授(スポーツ経営学)は言う。「球団赤字の損金扱いにより、赤字が容易に許され、球団の親会社依存が高まった。だから、親会社の業績悪化が、すぐに球団売却につながっていく。」
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昨朝、近所のコンビニに行った際、新聞スタンドに目が吸い寄せられてしまった。日刊スポーツに、大きな見出して「今日にも緊急会見 ヤクルト身売り サイバーエージェント有力」と載っていたので。今秋、「ベイスターズの売却問題」が大きく取り上げられたものの、結局は来季も現状通り東京放送ホールディングスが所有し続ける事になったのは、ほんの1ヶ月程前の事。新たな売却話が今年中に出るとは思っていなかったし、其れもスワローズだったというのは意外だった。今回の報道に関してはヤクルト及びサイバーエージェント双方が「事実無根。」というコメントを出した様だが、火の無い所に煙は立たないだろうし、今後の報道を注視したいと思っている。
ところで、冒頭で紹介したのは、先達て読んだ「AERA(11月29日号)」の記事「プロ野球ビジネスは生き返るか」からの抜粋。記事内では「2009年度の12球団の収支成績」が、次の様に紹介されている。(【損】は損益額、【補】は補填額、【客】は観客動員数を指す。損益と補填額に関しては球団の回答及び独自調査を、そして観客動員数に関してはNPBが提供した数字を記している。)
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「2009年度の12球団の収支成績」
ジャイアンツ
【損】15億4,000万円
【補】0円
【客】293万人
ドラゴンズ
【損】約2億円
【補】数億円規模
【客】230万人
スワローズ
【損】-2,100万円
【補】非公表
【客】133万人
タイガース
【損】3億9,700万円
【補】0円
【客】301万人
カープ
【損】4億100万円
【補】0円
【客】187万人
ベイスターズ
【損】-5億300万円
【補】非公表
【客】125万人
ファイターズ
【損】3億2,900万円
【補】非公表
【客】199万人
ゴールデンイーグルス
【損】-434万円
【補】非公表
【客】120万人
ホークス
【損】8億5,500万円
【補】50億円
【客】225万人
ライオンズ
【損】-2,966万円
【補】10数億円
【客】152万人
マリーンズ
【損】5,189万円
【補】20数億円
【客】147万人
バファローズ
【損】0円
【補】非公表
【客】129万人
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「12球団中、球団単体で黒字を出しているのは数チームに過ぎない。」というのは、以前から見聞していた。「球団運営が赤字になったとしても、親会社の知名度アップに貢献していると思えば、安い宣伝費だ。」というのが従来の親会社のスタンスだったのが、景気が此処迄悪化すると、親会社も子会社の面倒を看てはいられなくなったという事なのだろう。
スワローズが赤字経営という話は知っていたが、感覚として「ヤクルトがスワローズを売却する事は無いだろう。」という思いが在った。昔よりは大分薄れたとは言え、「生え抜きの選手をトレードに出すケースが少なく、彼等がスワローズで引退した場合には関連会社で再雇用する等、家族主義的なスタンスが支配する。」同球団だからこそ、「経営的に相当逼迫しない限り、売却なんて発想が出て来ないだろう。」と感じていたから。今オフには「メジャー挑戦」へと大きく心が傾いていた林昌勇投手を、スワローズとしては破格の高年俸を提示して残留させる等、来季に向けての強い意気込みも見せていたし。
ベイスターズの様に具体的な売却交渉が表に出てしまうと、幾ら球団側が「来季も親会社は変わらない、安心して欲しい。」と言った所で、「取り敢えずは変わらないというだけだろ?」という白けた思いが選手達にどうしても残ってしまうだろうし、来季に掛ける彼等のモチヴェーション低下が懸念される。今回は球団が即座に否定のコメントを出したので選手達に与える精神的ダメージは少なくて済みそうだが、でも将来に不安を生じさせたのは事実だろう。
スワローズ云々という話では無く、「プロ野球チームの売却」という事に関して書くならば、買い取る側のトップは「野球に深い愛情と知識を持った人間。」で在って欲しい。利益追求は当然必要だが、「利益さえ得られれば、後は知ったこっちゃ無い。」とか「親会社の認知度が上がりさえすれば良い。」というのが最優先されては困る。「離職率が異常に高い企業は、球団を買い取る資格が無い。」というのも自分の考えだ。社員を大事に出来ない企業が親会社になったら、プロ野球選手達も大事に出来るとは思えないから。
又、以前の記事「『可哀想だ、ハハ、もうしょうがねえ、ヘヘ。』って・・・ふざけるな!!」で、「犬の寿命は10年以上で在り、犬を飼う上では現在のみならず、10年以上先の自身の環境(の変化)をも見据えて、『ずっと飼い続けられるかどうか?』を考慮&決断して欲しい。」と記したが、球団の売却も目先の金銭だけで決めないで貰いたい。「今はそこそこ資金が在るから、球団運営でもしてみようかな。」とか、「数年は何とか球団運営出来る“体力”が在りそうだから、此の企業に売却するか。」みたいな安直さは、プロ野球ファンやプロ野球選手達に失礼。プロ野球は「文化」でも在り、プロ野球チームを持つというのは、そんな軽い話では無いのだ。1950年代の様に、ころころ親会社が変わる時代が、もう在ってはならない。
