セ・リーグのクライマックス・シリーズ、昨夜はファイナル・ステージの第3戦が行われ、「6対7」でタイガースがジャイアンツに勝利した。此の試合の前の時点でジャイアンツは(アドヴァンテージの1勝を含めて)3勝を上げており、ファイナル・ステージ勝ち抜けに王手を掛けていたが、タイガースが1勝を上げた。今日行われる予定だった第4戦は台風19号の影響で中止となり、明日(13日)に行われる事に。
徳俵に足が掛かり乍らジャイアンツを打っ遣ったタイガースは見事だが、両チーム合わせて「14」(ジャイアンツ:9、タイガース:5)もの四死球を与えた投手陣は猛省して欲しい。
此れで対戦成績は「ジャイアンツの3勝、タイガースの1勝」となり、数字の上では未だ未だジャイアンツンが有利なのは変わり無い。でも、個人的には嫌な予感がしているのも事実。「1958年の日本シリーズの再現にならなければ良いが・・・。」という思いが在るので。
過去に69回行われて来た日本シリーズの中でも、余りに有名な物の1つが、1958年に行われた試合だ。「ジャイアンツと西鉄ライオンズが対戦したシリーズ」で、第1戦から3戦をジャイアンツが全勝し、日本一に王手を掛けたが、第4戦が雨で中止となり、翌日に延期となった。雨によって流れががらっと変わり、第4戦以降はライオンズが勝ち続け、「4勝3敗」で西鉄ライオンズが日本一となったのだ。奇跡のシリーズとも呼ばれ、全7試合中6試合に登板した稲尾和久投手が「神様、仏様、稲尾様」と呼ばれる切っ掛けになった事でも有名。
昨夜の試合、4回裏を終えた時点で「4対1」とジャイアンツが勝利していた。ジャイアンツの打撃陣は効率良く得点し、流れとしてはジャイアンツに在ったと言って良い。ところが、3回表から2番手としてマウンドに上がっていた桜井俊貴投手が、5回表に一気に崩れる。3回表に2つの四球を与えた様に、コントロールが儘ならない彼だったが、5回表は3者連続で四死球を与え、無死満塁の大ピンチを作ってしまったのだ。結局、桜井投手は降板し、後に続いた投手達が打たれた事で、ジャイアンツは敗戦を喫する事に。
短期決戦は一寸した事で、流れががらっと変わる。油断は命取りになるし、「“ラッキー・ボーイ”と“アンラッキー・ボーイ”を、早く見極めるのが重要。」とも言われている。「3勝0敗」とジャイアンツが圧倒的に有利な状況では在ったけれど、試合運びの面でジャイアンツ勝利の可能性が高かった昨夜の試合では、4回表からコントロールが儘ならなかった桜井投手(もっと言ってしまえば、レギュラー・シーズン終盤から、彼はずっと不調だったし。)を、5回表に先頭打者に対してあっさりと四球を与えた時点で、若しくは遅くとも次打者に死球を与えた時点で原辰徳監督は降板させ、“勝利への流れ”を絶対に手放してはならなかったと思う。
監督として素晴らしい結果を残している事は認めるが、原監督には昔から「『チームの好調が続くと、相手チームを舐めた采配をし、其処からチームが不調に陥る。』という悪い癖。」が在る。3勝無敗で王手を掛けた事も在るが、レギュラー・シーズンではジャイアンツ打撃陣が全く打ち崩せなかったラファエル・ドリス投手を、ファイナル・ステージでは打ち崩せた事で、「タイガース恐れるに足らず。」と舐め、桜井投手の降板が余りにも遅くなったのではないか?
「『3勝1敗』から、雨によって試合が延期。」という今回、「3勝0敗から、雨によって流れが変わった。」という1958年の日本シリーズと微妙に内容が異なるけれど、昨夜の試合で完璧な投球を見せた藤川球児投手の姿が稲尾投手と重なってしまう。レギュラー・シーズン最終盤、物凄い勢いを見せたタイガースを、絶対に舐めてはならない。
第5戦をタイガースが勝利したならば、数字の上では「3勝2敗」とジャイアンツが有利では在るものの、タイガースにがっと流れが向かう事だろう。