作家・今野敏氏の作品には魅力的な物が多いけれど、「ST 警視庁科学特捜班シリーズ」もそんな1つ。「超人的な特殊能力を有するも、揃いも揃って皆、エキセントリックなキャラクターの5人と、彼等の言動に翻弄され乍らも、彼等と共に難事件を解決して行く“キャップ”。」という設定なのだが、5人の名前に全て“色名”が入っていたりと、実に風変わりな作品で在る。
原作が大好きな事も在り、TVドラマ化された際には全てを視聴。原作では男性だった青山翔(あおやま しょう)が、TVドラマでは女性になっている等の設定変更も在るけれど、キャスティングも演出も悪くは無かった。1月10日から「映画 ST 赤と白の捜査ファイル」が公開されたので、映画館に足を運ぶ事に。
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或る囚人の脱獄を画策したハッカー・鏑木徹(ユースケ・サンタマリア氏)の焼死体が見付かり、彼を殺したとして警視庁科学特捜班(ST)リーダーで在る赤城左門(藤原竜也氏)が逮捕。其れを受けて特捜班は解散するも、拘置所から脱走した赤城を追う為に、百合根友久(岡田将生氏)を始めとするメンバーが集められる。
赤城は無罪だと信じて捜査に当たる百合根は、事件と「フギン」というコンピューター・ウイルスの関連に着目。同ウイルスに付いて知る女・堂島菜緒美(安達祐実さん)の下へと向かうが、彼女は何者かに攫われてしまう。
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「街中や電車内で、一心不乱になってスマホやらタブレットやらを触っている人達。」が多数派になって久しい。人様に迷惑を掛けない限り、何をし様が個人の自由なのだけれど、画面を見詰めた儘、指だけを忙しなく動かしている人達許りというのは、何度目にしても不気味な感じをしてしまう。
今回の映画では、「“逃亡”する赤城達の個人情報や写真をネット上に拡散し、“炎上”させる事で、彼等の居場所をネット・ユーザーから掻き集める。」という場面が在る。到る所で老若男女を問わず、“一般人”がスマホやらタブレットやらで赤城達の写真をバシャバシャ撮って、居場所情報と共にネット上にアップしたりするのは、何とも言えない不気味さが在った。「ネット上に流される残酷な動画に、次々とアクセスが集まる場面。」もそうだが、“現代の病巣”と言えるかもしれない。
テンポが良く、飽きさせないストーリー展開。STの面々も、変わらずに良い味を出している「こんな設定在り?」と思う点も無くは無いけれど、全体としては面白い内容。此の映画で、百合根はSTを“卒業”してしまうが、是非とも又“復帰”し、映像化して欲しいもの。
総合評価は、星3.5個。