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DH(指名打者):野球の試合で攻撃時に、投手に代わって打席に立つ、攻撃専門の選手の事。
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3月13日にNHKで放送された「球辞苑~プロ野球が100倍楽しくなるキーワードたち~」では、「DH」を取り上げていた。
DHと言えば、昨年の日本シリーズで4連敗を喫し、「日本シリーズで、“2年連続の4連敗”に終わった。」というジャイアンツの原辰徳監督が、自身の責任を取る事無く、「パ・リーグで導入されているDH制が、セ・リーグでは導入されていないから、セ・リーグのチームは日本一になれないのだ。」という論法で“責任回避”をしていたが、記事「何も変え様としない」のコメント欄で“証明”した様に、「『DH制が導入されていないから弱い。』というのは、全く正しく無い。」と自分は思っている。
「各チーム1人の選手が、DH要員として固定されている。」、「DHで起用される選手は概して、他のポジションの選手よりも打率が高い。」といったイメージがDHには在るのだが、意外な事実を今回の番組で知った。
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「2020年 DH先発起用人数」(合計48人)
ホークス:7人
マリーンズ:12人
ライオンズ:5人
ゴールデンイーグルス:8人
ファイターズ:7人
バファローズ:9人
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「2011年~2020年 パ・リーグのポジション別打率」
1位:センター(.274)
2位:レフト(.265)
3位:ライト(.260)
4位:セカンド/ファースト(.259)
6位:サード(.257)
7位:DH(.253)
8位:ショート(.248)
9位:キャッチャー(.223)
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「近年のDH起用法は、特定の選手に固定せず、主力数人を併用するのが主流となっている。」そうだ。確かに昨年のデータを見ると、各チームで平均8人の選手がDHとして起用されている。
又、過去10年のパ・リーグのポジション別打率で、キャッチャーが最下位というのも意外だったが、何よりも意外だったのはDHが7位という事実。表現は良く無いけれど、「“打つだけの選手”なのだから、ポジション別では一番打率が高い。」と思っていたので。ホームラン数は「1,102本」で1位(一番少ないのは「313本」のキャッチャー。)と長打力は在るのだけれど、“安定した打撃”という面では、他のポジションよりも劣っている事になる。
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「DHシーズン打率ランキングのベスト4」
1位:レロン・リー氏(.331-1986年)
2位:レロン・リー氏(.328-1985年)
3位:レロン・リー氏(.326-1979年)
4位:松中信彦氏(.325-2005年)/チャーリー・マニエル氏(.325-1980年)
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16年前の記事「リーの息子」の中で、レロン・リー氏&レオン・リー氏という“日本球界最強の兄弟選手”を取り上げたが、1位から3位をレロン・リー氏が占めている(6位も彼だとか。)というのは、「見事!」と言うしか無い。
“打つだけの選手”で在るから、打てないと猛批判される。他のポジションの選手の様に、「打てなくても、好守備や好走塁で取り返せる。」という事は無い。DHで結果を残して来た選手(又は元選手)が色々証言していたけれど、「守備に就かない分、試合展開に入り込むのが難しい。」、「ずっと試合に出続けている訳では無いので、練習でより鍛え上げないと、体力が落ちてしまう。」というのは、「そうだろうな。」と感じた。又、「去年のパ・リーグ全打者の平均待ち時間は46.2分。(最短の選手は14.5分、逆に最長の選手は108.2分。)」という事で、守備に就かない分、「長い待ち時間を、どう有効に使うか。」も大事。
DHでも結果を残した山崎武司氏の証言が、特に印象に残った。DHに回された当初は「打つだけだから、楽な仕事だな。」と軽く考えていた彼だが、試合に入って行くのが非常に難しいという現実に戸惑ったそうだ。必死になって「此の一打席で決める!」と張り切るも、守備に就いていない事から試合展開に入り込めず、彼が言う所の「骨の髄からグワッと汗が出ていない。」ので、結果が残せなかった。「骨の髄からグワッと汗が出ていれば、何をしても身体がきちんと動くのに、DHに回された当初は、そうならなかった。」のだとか。
色々試みた結果、「第1打席に入る直前、ティー・バッティング30球を行う。」事で骨の髄からグワッと汗を出し、「味方が守備に就いている間は、ベンチで“ノムさん”がボヤいている内容を参考にして、“読みの能力”を磨く。」事で、DHとして結果を残せる様になったと言う。
「セ・リーグでも、DH制を導入すべき。」と主張する人達が訴えるメリットに、「DH制が在れば、野手の出場機会が増える。」というのが在る。「守備が上手じゃ無い選手でも、打撃が凄ければ出場出来るから。」という理屈だが、セ・パ両リーグで監督経験の在る岡田彰布氏は、きっぱりと否定していた。「出場選手が或る程度固定されてしまい、交代が少なくなる。DH制にしたら、1試合で出場しない選手が半分位出て来ると思うので、野手の出場機会は逆に減る。」と主張。
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「2020年代打打席数」
1位: スワローズ(339打席)
2位: ベイスターズ(272打席)
3位: カープ(264打席)
4位: ジャイアンツ(259打席)
5位: タイガース(240打席)
6位: ドラゴンズ(224打席)
7位: マリーンズ(162打席)
8位: ファイターズ(159打席)
9位: バファローズ(143打席)
10位:ゴールデンイーグルス(136打席)
11位:ホークス(89打席)
12位:ライオンズ(76打席)
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セ・リーグの合計が「1,598打席」に対し、パ・リーグは約47.9%の「765打席」となっている。岡田氏の主張に納得。
又、「日本シリーズでセ・リーグのチームが勝てないのは、ドラフトで良い選手をパ・リーグに持って行かれているから。」とも主張。自分も全く同感で、「DH制を導入すれば、セ・リーグのチームは強くなる。」という論調には、改めて反対の思いを強くした。