ミステリー関連の年間ブック・ランキングで、自分が注目しているのは「本格ミステリ・ベスト10」(発行元:原書房)、「週刊文春ミステリーベスト10」(発行元:文藝春秋)、そして「このミステリーがすごい!」(発行元:宝島社)の3つ。此れ等の内、「2017本格ミステリ・ベスト10【国内編】」と「2016週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」の2つが先日発表されたが、残りの1つ「このミステリーがすごい!2017年版【国内編】」も発表となった。
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「このミステリーがすごい!2017年版【国内編】」
3位: 「真実の10メートル手前」(著者:米澤穂信氏)
5位: 「許されようとは思いません」(著者:芦沢央さん)
10位:「ジェリーフィッシュは凍らない」(著者:市川憂人氏)
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整理すると、「2017本格ミステリ・ベスト10【国内編】」は「聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた」(著者:井上真偽氏)、「2016週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」は「罪の声」、そして「このミステリーがすごい!2017年版【国内編】」は「涙香迷宮」が、其れ其れ1位に選ばれた事になる。
「2017本格ミステリ・ベスト10【国内編】」で1位に選ばれた「聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた」は、「2016週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」で10位に選ばれたものの、今回の「このミステリーがすごい!2017年版【国内編】」では10位内に選ばれていない。
「2016週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」で1位だった「罪の声」は、今回の「このミステリーがすごい!2017年版【国内編】」で7位だけれど、「このミステリーがすごい!2017年版【国内編】」では10位内に選ばれていない。
そして、今回の「このミステリーがすごい!2017年版【国内編】」で1位に選ばれた「涙香迷宮」は、他の2つの年間ブック・ランキングの10位内に入っているけれど、「このミステリーがすごい!2017年版【国内編】」では4位、「2016週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」では3位という結果。
3つの年間ブック・ランキングで10位に入った作品を見ていると、全体的に散けている。1位になった作品が3つ共異なっている事を考え合わせても、「今年のミステリー界は、“図抜けた作品”が無かった。」という事なのかもしれない。
新刊(2016)
1、最古の文字なのか?
氷河期の洞窟に残された32の記号の謎
文藝春秋(考古学・ノンフィクション)
2、廃道探索、山さ行がねが
平沼義之、じっぴコンパクト文庫
(廃道探索、探検、アウトドア)
3、古代金属国家論
内藤正俊、松岡正剛、立東舎
(復刊、民俗学、日本史、対談)
4、和僑、農民、やくざ、風俗嬢
中国の夕日に佇む日本人
(ルポ、ハードカバーからの文庫化)角川文庫
5、暗黒・中国からの脱出
顔伯鈞、安田峰俊偏訳、文藝春秋新書
既刊)
6、ナチスの財宝 講談社現代新書 篠田航一
(ドキュメント、現代史)
7、中華料理の文化史、張競 ちくま文庫
8、闇の奥
文春文庫、辻原登(ミステリ、現代史、秘境)
9、機龍警察 暗黒市場
10、機龍警察 未亡旅団
お勧めはナチスの財宝です。
産経新聞のドイツ特派員が、「趣味で取材」した記事が当たって本にしたもの。
裏ドイツ現代史とも言える内容で、怪しげなトレジャーハンターとか東独秘密警察とか、
ゴルゴ13な世界。何故に巨額なナチス財宝が存在するのかとヒトラーの劣等感とか、俯瞰して楽しめる。日本では知られてないロンメルの財宝とか珍しげなネタも。
近年、読むのは専らミステリーという自分ですが、「ナチスの財宝」は面白そうですね。ナチス・ドイツ内に蠢く“怪しげさ”に、興味を惹かれます。又、「古代金属国家論」、そして雫石鉄也様も高く評価されていた「機龍警察シリーズ」も食指を動かされます。
雫石さんの映画欄の「仁義なき戦い」に「お薦めの一冊」としてレビューしてます。
お読み頂ければ幸いです。
「リアルさが在る様で、詳細で言えばリアルさが無い。」等、深作欣二監督の作品は好き嫌いがハッキリ別れたりしますが、個人的には「面白い。」という一点で、「仁義なき戦い」は大好きな作品の1つです。