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「早朝始発の殺風景」
早朝始発の列車で、何故か出会った同級生(余り仲は良く無い)の思惑は、何処に在る?男女の高校生が、ガラガラの車内で探り合いの会話を交わす。
「メロンソーダ・ファクトリー」
女子高生3人は、何時ものファミレスに居た。何時もの放課後、何時ものメロンソーダ。唯1つだけ何時も通りで無いのは、詩子(うたこ)が珍しく真田(さなだ)の意見に反対した事。
「夢の国には観覧車がない」
高校生活の集大成、引退記念で遣って来た幕張 ソレイユランド。気になる後輩も一緒だ。なのに、何故、男2人で観覧車に乗っているんだろう。
「捨て猫と兄妹喧嘩」
半年振りに会ったというのに、兄貴の挨拶は軽かった。如何にも社交辞令って感じの遣り取り。でも、違う。相談したいのは、こんな事じゃ無いんだ。
「三月四日、午後二時半の密室」
煤木戸(すすきど)さんは選りに選って、今日という日に学校を欠席した。そうでも無ければ、幾らクラス委員だとしても、家に迄御邪魔しなかっただろう。密室の中の慣れない会話は、思わぬ方に転がって行き・・・。
「エピローグ」
登場人物総出演。
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近年、若手のミステリー作家として注目を集めている青崎有吾氏。今年で28歳というのだから、自分(giants-55)の息子と言ってもおかしくない年齢。改めて、馬齢を重ねて来た期間の長さを感じてしまう。
今回読んだのは、彼の「早朝始発の殺風景」という作品。千葉県のと或る私鉄沿線で起こった事件(と言っても、殺人事件といった物では無く、日常で起こった何気無い出来事。)を、高校生達が謎解いている。
「東京ディズニーランドに観覧車が存在しない理由」(飽く迄も“説”の1つだが。)等、興味深い記述も見受けられたが、全体的にはぴんと来ない内容。「肝心な謎解きの部分に“弱さ”を感じる。」というのが、不満足さを募らせる大きな要因。
強いて言えば、「『三月四日、午後二時半の密室』という作品が、まあ良かったかなあ。」という感じ。でも、積極的に「良いよ。」と推せる程では無いが・・・。
総合評価は星3つ。