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「金正恩氏の異母兄、金正男氏がマレーシアで殺害される=韓国メディア」(2月14日、ロイター)
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏がマレーシアで殺害された。複数の韓国メディアが14日、関係筋の話として報じた。聯合ニュースは韓国政府筋の話として、13日午前にマレーシアで殺害されたと報じた。
朝鮮中央テレビによると、クアラルンプールの空港で北朝鮮の工作員と見られる2人の女性に毒を盛られたと言う。工作員は逃亡中としている。マレーシアの警察当局はロイターに対し、身元不明の北朝鮮の男性がクアラルンプールの空港から病院に運ばれる途中で死亡したと説明した。
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続報によると、「金正男氏が亡くなった。」というのは事実の様だ。状況から毒殺と推測され、北朝鮮の女性工作員2人が“毒針”を使ったのではないかと。記事「刃向かう者は消す!?」で取り上げたロシアもそうだが、暗殺と思われる手段が普通に用いられる北朝鮮というのは、本当に恐ろしい国だ。
多くの日本人にとって、「金正男」という人物を強く意識したのは、2001年に日本に密入国した時だろう。其れ迄、彼に関する噂は結構見聞していたが、其の“動いている姿”を実際に見たのは初めてだったと思う。「マタギ姿の小林亜星氏か!?」と思ったっけ。
【金正男氏】
【小林亜星氏】
前朝鮮労働党中央委員会総書記・金正日氏の長男・金正男氏は当初、金正日氏の後継者と言われていた。「冷酷な乱暴者。」とか「馬鹿なぼんぼん。」等、彼に関する噂は陸でも無い物許りだったので、日本への密入国&退去強制処分となった際には、「噂通りの人物だったのだなあ。」と思ったが、以降、メディアの前に現れて気さくに話し、時には北朝鮮の世襲を批判したりしているのを見て、「意外と真面な人物なのかも。」と思い直したりも。
今回の件、暗殺が間違い無いとしたら、義母弟の金正恩朝鮮労働党委員長の命令が在ったのは確実だろう。そうだとしたら、動機は何か?
「金正恩氏が後継者に決まる前、又は決まってから間も無い頃なら、自分を脅かす存在として“兄”の正男氏を暗殺するというのは判るが、既に独裁体制が確立され、正男氏の存在意義も軽くなった今、暗殺を命令する意味合いが無い。」と、多くの専門家は語っている。
叔父の元国防委員会副委員長・張成沢氏を粛清する等、後継者となって以降、次々と周りの人間を殺害している金正恩朝鮮労働党委員長。「多くの金を得れば得る程、もっと金が欲しくなる。」と言われるが、「独裁体制が強まれば強まる程、独裁者はより周りが信じられなくなり、更なる粛清を行う様になる。」のは、古今東西の歴史が証明している。「疑心暗鬼を生ず」だ。
織田信長兄弟や伊達政宗兄弟等々、日本でも権力争いによる兄弟の殺害は、過去に少なからず在った。「兄の存在意義が軽くなったと言われているが、どう状況が変わるか判らない。寝首を掻かれる前に、暗殺してしまえ!」と、金正恩朝鮮労働党委員長は考えたのではないだろうか。